ソフトバンク千賀滉大投手(27)が26日、ペイペイドーム内の球団事務所で契約更改交渉を行い、単年契約で1億円増の年俸4億円プラス出来高でサインした。育成出身では巨人山口の3億2000万円を抜いて球界最高額となった。この日、日本ハム有原航平投手(28)と米レンジャーズとの契約合意が判明。千賀も希望するメジャーへの気持ちをあらためて強くした。来季はキャリアハイを目指し、夢を追いかける。

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大エースが自分のことのようにはしゃいだ。契約更改後の取材で、ソフトバンク千賀の声が弾んだ。この日、ポスティングシステムにより、日本ハム有原とレンジャーズとの基本合意が明らかになった話題に触れたときだった。「同じマネジメント会社ですし、即行で電話しました。有原ではなく、共通の人に。テキサスかあ…」。同学年の良きライバルの夢実現に、千賀の気持ちもざわついた。

今季は右腕の張りなどで開幕は間に合わなかったが、18試合で11勝6敗。防御率2・16、149奪三振で、最多勝、最優秀防御率、最多奪三振の3冠を達成し、ベストナインとゴールデングラブ賞と合わせて“5冠”に輝いた。年俸も1億円アップの4億円プラス出来高で契約を更改。育成出身としては、巨人山口の3億2000万円を抜いて球界最高額となった。「評価はうれしい。また来年もやらないといけない。自覚をもってやりたい」と口元を引き締めた。

夢は諦められない。3年前からポスティングシステムによるメジャー移籍希望を申し入れているが、球団は認めていない。この日も交渉は1時間以上かかり「アメリカの話が一番長かった。いろいろ話はしました。そのへんは変わりないです」と説明。三笠取締役GMも「大きく変更があったことはない」と方針は変わらないことを明かした。

順当に行けば、来季中に国内FA権、22年中には海外FA権を取得。現状最短でのメジャー挑戦は23年シーズンになる。球団側は複数年契約を用意していたが、千賀は「具体的な(条件面の)話はなかった」と単年契約を選んだ。

「来年は全部、自分の記録を超えるつもりで頑張るだけです」。本格的に先発となって以降は13勝(17年から3年連続)、防御率2・16(20年)、227奪三振(19年)が最高。メジャー挑戦に向け、まずは自分超えで5年連続日本一に全力を注ぐ。【浦田由紀夫】(金額は推定)