輝明先輩、太っ腹です! 阪神ドラフト1位の佐藤輝明内野手(21=近大)が4日、母校の兵庫・仁川学院で自主トレを公開し、後輩たちにビッグなお年玉をプレゼントした。約100万円の高価なバッティングマシンを寄贈。同校初のプロ野球選手となった虎の大砲候補が、甲子園初出場を目指す母校を後押しした。後輩思いの先輩は、新人王を目指す自身の21年の1字に「挑」を選び、新春に誓いを新たにした。

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佐藤輝はすっかり先輩の顔になっていた。「練習することが一番大切。毎年応援しているので、少しでも力になれれば」。契約金などから捻出し、約100万円のバッティングマシンを母校の仁川学院に寄贈。お正月、後輩たちにビッグなお年玉をプレゼントした。

佐藤輝が在籍していた4年前から同校のバッティングマシンは故障中だった。その期間は、打撃投手のみで練習を行っていたという。状況を見かねた佐藤輝が「しっかり使って、打って、試合で打てるようになってほしい」という思いを込め、今回の寄贈となった。

母校が悲願とする甲子園初出場を後押ししたい思いもあった。最速150キロのストレートや130キロのスライダー、カーブなどを投げることができる高性能マシン。まさに太っ腹な贈り物だ。「これを使って一生懸命練習して、勝利を目指して頑張ってください」。同校初のプロ野球選手になった佐藤輝は、笑顔で後輩たちに呼びかけた。

辻元伸一監督(46)も感謝だ。「今あるマシンが壊れていて、修理したら使えていたんですけど、良いのをいただいたので、ありがたいですね」。贈呈式に参加した現役部員13人も「これを使って毎試合打てるように、夏の大会で結果を残せるように頑張るので、輝明さんも頑張ってください!」とエールを交換。バッティングと同様にスケールの大きい先輩の心意気に触れ、“仁川学院魂”で今夏の聖地を目指す。

佐藤輝はこの日、原点のグラウンドで高校時代の同級生らとキャッチボールやティー打撃などで約2時間、汗を流した。年末年始もほぼ休まず体を動かし、今月上旬から始まる新人合同自主トレーニングに備えている。「年が変わっていよいよというところ。しっかり頑張っていこうと思っています」と引き締めた。

今年の漢字には、チームスローガンの「挑・超・頂」にちなんで「挑」を選択。「チャレンジ精神、しっかり挑む気持ちを持ってやっていきたい」。ルーキーイヤー最大目標の「新人王」をつかむため、後輩思いの大砲候補が、熱い新年の誓いを立てた。【只松憲】

<阪神ドラフト指名選手の主な寄贈>

◆義援金100万円 04年自由枠の能見篤史投手(大阪ガス)は、同年10月の台風23号で被害に遭った出身の兵庫・出石町へ義援金100万円を贈った。「出石は僕の原点。自分が明るい話題を提供できればと思いました」。

◆グラウンド整備車 96年1位の今岡誠内野手(東洋大)は母校のPL学園にグラウンド整備用の車を寄贈。「あらためてこの高校に感謝したい気持ちです」と初心を思い出していた。

◆ワンボックスカー 12年1位の伊藤隼太外野手(慶大)が、同大学野球部にワンボックスカーを贈呈した。中古の日産「キャラバン」で、用具運搬などに使用。「今までボロボロだったので、いいものを使ってもらいたいですね」と感謝の思いを表した。