超一流を“夢”見て! 阪神ドラフト1位の佐藤輝明内野手(21=近大)が6日、兵庫・西宮市内の選手寮「虎風荘」に特注マットレスとともに入った。地元西宮市のふとん店で新たにオーダーメードした約50万円の高級品。超一流の眠りで体をケアする左のスラッガーは寮生活初日に「超一流の選手になりたい」と誓った。

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世界に1つしかない相棒をプロの戦場に持ち込んだ。佐藤輝は西宮市内の自宅近くにある「快眠ショップHATA 畑ふとん店」で新たにマットレスをオーダーメードした。球団広報を通じた取材に「すごい自分に合ってると思っていて、虎風荘でも使いたいなと。めちゃくちゃ眠れます」と語り、さっそく自室で感触を確かめて笑顔を見せた。

同店のマットレスは地元の知人に紹介され、近大3年時から愛用。大きさや硬さの異なるキューブ素材を体重や体の凹凸に合わせて10センチ単位で配列。そのキューブ層の組み合わせは「大学仕様」が約1万3000通りから選んだのに対し、「プロ仕様」は約4万3200通りから。店主の畑雅友さん(49)は「普通の人とは体が違うので、素材の配列は全然違う。すごい体格を支える力の強いものなど、普通の人では使わないパーツを使っています」。鍛え抜かれた太もものおかげで、膝下にできる空間が一般の人より広く、特別なサポートパッドを使って埋めた。

佐藤輝は、全国展開するメーカーではなく地元店を愛し、昨年11月末から2度訪れ、約1カ月かけて完成した。正しい寝姿勢を保つことで体内の血流循環が良くなり、深い呼吸で深い眠りにつけることは、パフォーマンスにつながるという。畑さんは「布団に入った時は全てリセットして、次はまた新しい1日が来るという気持ちになってくれたら」と地元のヒーローに期待を込めた。

近大では寮の部屋の都合でシングルだったが、セミダブルとサイズもランクアップした。「これから新しい生活がスタートするんだなという気分です」。9日からは新人合同自主トレが始まり、本番モードへ突入する。即戦力スラッガーは「けがをしないように動いて、バッティングをアピールしていきたい。(将来は)誰からも目標にされるような超一流の選手になりたい」。地元産の超一流の眠りとともに、ビッグドリームを体現していく。【奥田隼人】

◆佐藤輝明(さとう・てるあき)1999年(平11)3月13日生まれ、兵庫県出身。甲東小1年から甲東ブルーサンダースで軟式野球を始め、6年ではタイガースジュニアに参加。甲陵中では軟式野球部に所属。仁川学院では通算20本塁打。近大を経て、20年ドラフトで巨人とソフトバンク、オリックスと4球団競合の末、阪神から1位指名を受け、契約金1億円プラス出来高払い5000万円、年俸1600万円(ともに推定)で入団。50メートル6秒0、遠投100メートルと身体能力の高さを誇る。187センチ、94キロ。右投げ左打ち。

▽阪神の入寮新人の個性的な持参品

◆12年伊藤隼太 大相撲の立行司、第36代木村庄之助が「努力に勝る天才なし」としたためた額縁や、慶応義塾の故小泉信三塾長の言葉「練習は不可能を可能にス」と書かれた色紙などを飾った。

◆12年西田直斗 ディズニーの人気キャラクター「ダッフィー」のぬいぐるみを4個。さらに有名ブランドのハンドクリーム、香水まで持参。周囲を驚かせた。

◆13年藤浪晋太郎 大阪桐蔭時代から愛用する、やや大きめの布団を持参。敷布団220センチ、掛け布団230センチで、197センチの藤浪が寝ころんでも問題なし。

◆14年岩貞祐太 元阪神監督野村克也氏の「野村の極意」など8冊の本を持ち込み、自己啓発に努めた。