率を鷹く! ソフトバンクナインが1月31日、春季キャンプ地の宮崎に入った。工藤公康監督(57)はチーム宿舎での全体ミーティングで、あらゆる「率」にこだわることを選手たちに求めた。出塁率、打率、防御率などの数字を上げるために個々がレベルアップし、最終目標の勝率増につなげていく。「鷹く!」のスローガンの下、高い意識でリーグ2連覇&5年連続日本一を目指す。

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昨年は秋季キャンプもなかった。1年ぶりの宮崎だ。待望の春季キャンプを前にした工藤監督は「いよいよ明日からだなと。プロ野球にとってのお正月を迎えられるというところで、気持ちが高まっているというか、興奮しています」と、胸を高鳴らせた。

チーム宿舎でのミーティングでは、選手たちに「率」にこだわる姿勢を求めた。「ピッチャーで言えば防御率、勝率。バッターで言えば、中村(晃)君が昨年言っていたように、出塁率であったり、打率であったりとか、すべての率。プロ野球というのは勝率で優勝が決まるルールの中でやっている。すべての率を個々のレベルアップを掲げてやってほしい」。今年のスローガンは「鷹く!」。2年連続リーグ優勝と5年連続日本一を狙うチームに、意識を高く持つことを求めた。

指揮官はオフの期間中、セイバーメトリクスなどの数字とじっくり向き合った。チームの長所や短所、課題が見えてきた。「そういった中で中村君が出塁率という話をしていた。選手もそう感じているのであれば、チームのテーマとして掲げてやっていくのは、選手の思いと僕の思いが合うのかなと思いました」。昨年の契約更改交渉の席で、出塁率への評価アップを訴えた選手会長、中村晃の姿にも通じるものがあった。

リーグ連覇チームだけに、「率」は軒並み上位が多い。だが、出塁率は4位だった。四球を選んだ数もリーグ5位で、大きな課題としてとらえている。「うちの選手たちは四球が特別多いわけではない。粘っこく、四球でもなんでも塁に出る。粘っこい打撃が追い込まれた後にできるようになると、出塁率も変わってくると思います」。「率」を求めて個々がレベルアップし、優勝を争う最終目標の「勝率」につなげていく。指揮官の思いをそれぞれが受け止め、コロナ禍の宮崎で21年のスタートを切る。【山本大地】