2月1日午前7時25分、沖縄・石垣島に大きな朝日が昇った。

各球団がキャンプインする2月1日は“野球界のお正月”とも呼ばれる。南の島でも美しい初日の出となった。島の南東部にある白保海岸は、情緒的な雰囲気から最近では「石垣のウユニ」と呼ばれたりもする。

1年前の早朝、私は白保海岸で1人で歌っていた。キャンプ初日、選手ら球団関係者全員の前で自己紹介をするのがロッテの伝統らしい。歌うことにした。朝から大自然で声を出して臨んだが、球場での本番は、もうそれはそれは。

気恥ずかしい思い出も、遠い昔のよう。誰もが予想だにしない1年間を過ごした。今年はチーム関係者と報道陣の導線は完全に分けられるキャンプになる。定期的なPCR検査を行った上で、対面取材も限られる。井口監督は「逼迫(ひっぱく)している状況の中、石垣島でキャンプをさせていただくということで、我々も万全の対策をしながら過ごしたいと思います」と話した。私も、離島の石垣島に滞在できるだけでありがたいと思う。

遠征好きで知られるロッテファンにも、少し寂しい球春となった。本来なら美しい朝日から1日が始まり、キャンプを見て、夜は石垣牛…そんな「毎年のこと」もかなわない。入島し、取材を許された立場として、チームの今をできる限り伝えたい。12球団の多くのファンがペナントレースに訪れ、応援歌を心置きなく歌い、いつものキャンプに戻れる日常になることを願って。新年あけましておめでとうございます。【金子真仁】