12球団のキャンプを支える各球団の広報さん。グラウンドでは見せない選手の素顔やキャラクターを紹介してもらう連載「広報イチオシ日誌」です。

 ◇   ◇   ◇

西武田代裕大広報(31)はメジャー片手に近づいた。イチオシ選手に挙げた5年目の田村伊知郎投手(26)。理由は明確だった。「グラウンドの外ではとにかく腰が低く、マウンド上ではよく雄たけびを上げる。そんなギャップは個人的にもひかれますが、ふくらはぎと太ももを見てほしいんです」。直接取材がかなわない中、記者に成り代わってメジャーで計測。ふくらはぎ42センチ、太もも65センチの太さに「本人は『渡部(健人)には負けますよ』と笑っていましたけど、重量感ある下半身は頼もしく見えます」と興奮気味に話した。

報徳学園高時代は1年生から甲子園のマウンドに立ち「スーパー1年生」と呼ばれた。細い体から繰り出す伸びのある直球で、三振を奪う姿にファンは夢を見た。プロ入り後、大きくなった体はまさに陰の努力のたまもの。田代広報はメガネ越しのその目で、見ていた。「昨年の遠征で驚かされたのが食べる量なんです。2度見してしまうほどの白米を茶わんに盛り、ビュッフェ形式の食事ではいずれもその量が人並みではありませんでした」。その上でバランスのとれたチョイスに、チームの管理栄養士も太鼓判。「季節、状況に関係なく、しっかり食事を取ることができるというのも、身体の強さの秘密でしょう」と明かした。

19年オフには米国にあるドライブラインで修業を積み、球速がアップ。昨季終盤には回またぎをこなしながらも、150キロを連発した。今季は中継ぎとして勝ちパターンへの昇格を狙う右腕は、15歳で甲子園デビューしてから11年。「おかわり君にもよくばり君にも負けない魅力満点の田村にぜひ、注目していただきたいです」。お立ち台に上がる田村を思い描いた。【栗田成芳】