12球団のキャンプを支える各球団の広報さん。グラウンドでは見せない選手の素顔やキャラクターを紹介してもらう連載「広報イチオシ日誌」です。

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日本ハム寺嶋大賜(たいし)広報兼通訳(26)は、じっと見守っていた。13日、1軍キャンプ地のタピックスタジアム名護で行われた紅白戦のシートノック。視線の先にはイチオシ選手の上野響平内野手(19)がいた。2軍スタートの若手内野手は「とにかく守備への探求心が、すごいんです」。

ポジションは遊撃手。高校時代は“令和の牛若丸”と呼ばれたほど、華麗で堅実な守備が売りだ。

そんな上野も昨季、スローイングで悩む時期があった。「打球を捕ることでいっぱいいっぱいになってたようで送球の感覚を見失いかけていたようです。でも、その時は城石2軍内野守備コーチに打球への入り方を教わったり、いろんな選手の動きを見て研究したりして、最後は『やっぱり足だ』と気付いたそうです」。課題に向き合い、自ら答えを見つけられる自己成長力に寺嶋広報兼通訳は感心したという。

紅白戦のシートノックでは捕球からスローイングまでよどみない動きを見せる上野がいた。「去年は普通の打球にバウンドを合わせられず、ボールが胸に直撃していましたからね」。昨春キャンプで初めて1軍の練習試合に呼ばれた広島戦(名護)は居並ぶ主力選手に囲まれて緊張。足が動いていなかった。

1年後の今回は環境にも順応し、いつもの動きを見せていた。「今季は打球に対して1歩目を強く速く、と意識しているようです。これも、1年間プロでやって気付いたそうです。どこまでうまくなるのか。今季も楽しみです」。遊撃レギュラー候補のダークホースとして期待した。