ロッテ吉田裕太捕手(29)が2ラン含む4打点と、バットでアピールした。

2回の2ラン、6回の2点適時打とも、2ストライクと追い込まれてからの引っ張った打球。直前に空振りしても、臆せずに振り抜いた。「そこに関しては良かったですね。今まで石垣島や自主トレでやってきたものが出せているので良かったです」。

そこに関しては、と言った。三振も2個喫した。特に第4打席は同点の9回1死一塁。けん制悪送球と暴投で、1死三塁になり、DeNA内野陣も前進守備を敷く局面だった。国吉のスライダーにバットが空を切った。

「追い込まれてて、やっぱりあそこで打球を出すことによってまたプレーが起きて、何か起こると思うので。あそこで簡単に三振しちゃったのがよくなかったと思います」

活躍の喜びよりも、最後の打席を悔いた。今季のチームスローガン「この1点を、つかみ取る。」を体現するチャンスだった。試合後の井口監督も手厳しい。「2打席はいい形で打ちましたけど」としながら「最後にああいうところで三振というのがね。今年は1点をもぎ取るというところなのでね、ああいうところをやっていかないと1軍に残れないですし」と話した。

日大三から立正大を経て、プロ8年目になる。昨季出場は1試合のみ。唯一の打席は犠打だった。それでも井口監督は年末の総括会見で「吉田は長打力を生かせるように、と本人と話しました」と名前を出すほど期待をかけている。出場機会を増やすため、今春キャンプから一塁守備に本格的に着手している。

一塁は昨季、レギュラーの井上が終盤に不振に陥ったものの、取って代わる選手がいなかった。今も吉田、山口、佐藤都ら内野手登録でないメンバーが、1軍生き残りをかけ、一塁にチャレンジしている。吉田は特に、1軍に数少ない右打者でもある。だからこそ、9回の打席は吉田にとって大きかった。

井口監督は言う。「もちろん(相手の国吉が)いい投手というのは分かってるので。そういう投手からこそ1点を取るのが今年の課題なので、そこを彼らがクリアしないと。違うところで打っても、1軍には残れないなと思います」。あと10日もすれば、レギュラー陣が続々と合流し始める。2月の実戦は残り6試合。1つ1つの重みを意識しながら、サバイバルが続く。【金子真仁】