<練習試合:阪神4-3広島>◇21日◇かりゆしホテルズボールパーク宜野座

広島ケビン・クロン内野手(28=ダイヤモンドバックス)が、阪神との練習試合で対外試合初安打を放った。4回に加治屋から左中間への二塁打。結果が出ずにフォームを崩していたが、朝山打撃コーチとの「15分36秒」の特別練習が初安打を呼んだといえる。練習内容は打ち込みの特打ではなく、話し合いがメインの“特話”だった。

   ◇   ◇   ◇

特別練習から4時間20分後、来日初安打が生まれた。新助っ人クロンは4回、阪神2番手加治屋のカーブを引き付けて思い切りたたいた。打球はぐんぐん伸びて左中間を破った。対外試合14打席目。長打となって二塁ベース上で思わず表情が緩んだ。

復調のきっかけはこの日の朝にあった。宜野座での試合前、チームはキャンプ地コザしんきんスタジアムで練習。クロンはメイングラウンドでの打撃前、朝山打撃コーチと通訳とともに屋内練習場にこもった。「15分36秒」で打った球数は「39球」だった。メイングラウンドでは約7分間で50球だからスイング数が極端に少ない。

マンツーマン指導は、技術面ではなく精神面。トス打撃の時間よりも対話の時間の方がはるかに長かった。「今は結果は気にしていない。自分のスイングをしてくれればいい」「一番いけないのはヒットを欲しがって小さくなること」…。打撃コーチからの言葉にクロンはうなずきながらスイングを確認。自分の思いもコーチに伝えた。

連続無安打で迎えた前日20日ヤクルトとの練習試合は5打数無安打、3三振。打ちにいく際にテークバックを取ったグリップの位置が緩み、力強さが軽減されていた。「何試合か(好結果が)続かないと、どうしても結果を求めて自分の中で焦りが出てきてしまう。頭の中で分かっていても、体が結果、結果となって崩してしまった部分があった」。この日は本来の大きなテークバックから力強いスイングが戻った。

結果だけでなく、目に見えて内容も向上した。「今日は最後の1球だけ悪い球を振ってしまったのですが、それ以外はしっかりと自分が振るべき球を振れた」。特打ではなく、朝山コーチとの“特話”ともいえる時間が不調脱却のきっかけとなった。【前原淳】

▽広島佐々岡監督「ずっと悩んでいた中で、今日はファウルの仕方とか、スイングが良かった。結果が出たのが何よりだと思う。打撃コーチがしっかりとやっているので、そういうところが今日出ているのがプラスかなと思います」

◆ケビン・クロン 1993年2月17日、米カリフォルニア州生まれ。14年ドラフト14巡目でダイヤモンドバックスと契約。19年には傘下3Aリノで82試合に出場し、リーグ最多の38本塁打、105打点、打率3割3分1厘。同年メジャー初出場。メジャー通算47試合、6本塁打、16打点、打率1割7分。守備位置は一塁と三塁。広島では中軸が期待される。推定年俸約8800万円。195センチ、115キロ。右投げ右打ち。

広島担当のツイッターはこちら―>

広島ニュース一覧はこちら―>

阪神対広島 練習試合詳細はこちらー>