安芸キャンプを打ち上げた中村勝広監督は、総括する中で投手陣の立て直しの中心的存在にドラフト1位ルーキーの湯舟敏郎投手を抜てきする考えを明かした。

「投手陣はブルペンで見る限り、手応えがあった。あとはゲームでいかに力を出すか。それには精神力が大きなカギになるだろうが、湯舟に見習うべき点が多い」と高く評価した。

通常なら経験豊富なベテラン投手が投手陣の柱になるところ。この構想は投手陣の層の薄さの裏返しともいえた。また、新人ながらキャンプ休日をすべて返上して“無休トレ”を敢行したことや、紅白戦などを通して岡田らベテラン打者からも「ええ度胸しとる」と絶賛されていたこともあった。思わぬ指名に湯舟は「まだゲームにも投げていないのに、買いかぶりすぎですよ」と戸惑い気味だった。この年、湯舟は23試合で5勝11敗だったが、92年は11勝を挙げるなど主軸に成長していく。(おわり)