阪神藤浪晋太郎投手(26)と高山俊外野手(27)とが沖縄・宜野座キャンプ最終日の1日、矢野燿大監督(52)から投打の「キャンプMVP」に選ばれた。

「投手MVP」の藤浪は実戦3試合で計8回1失点と快投を連発し、開幕ローテ入りへばく進中。「総合MVP」の高山は実戦11試合で打率4割2分8厘と打ち続け、外野レギュラー争いを先導中だ。ドラフト1位佐藤輝に注目が集まった今春、元ドラ1の2人も輝きを取り戻した。

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藤浪は「投手MVP」の一報を聞くと、浮かれるどころか気を引き締めた。

「ちょっとビックリしています。それだけ期待してもらっているのもあると思う。しっかり応えられるように頑張りたい。光栄ですけど、自分の納得できるところを見失わないように今後もやっていきたい」

その裏に込められた意図を敏感に感じ取り、冷静に気合を入れ直した。

誰の目にも充実の1カ月間に映った。再挑戦中のワインドアップ投法は「今のところはいい感じ」。実戦3試合登板で計8回1失点の数字以上に内容は濃い。

「ゲームメークする上でピッチングになるような球の質だったり精度だったりは、ある程度はあるのかなと思っています」

すでに最速158キロを計測した直球の強さは上々。高速フォークのキレ味も健在。何より、カットボールなどの変化球で簡単にカウントを稼ぐ姿に頼もしさを感じる。「まだ課題もたくさんある」と冷静だが、安定感は格段に増している。

大黒柱西勇のキャンプ離脱直後には、野球評論家陣から開幕投手に推す声も出たほどの好調ぶり。「そんな立場じゃない」と恐縮する本人をよそに、球界屈指の潜在能力に対する期待値は高まるばかりだ。矢野監督は「これなら勝てるな、というモノをしっかり見せてもらえた」と評価。金村投手コーチも「(序列は)間違いなく上がってきている」と信頼を寄せる。

キャンプから週末登板を続けており、次回は5日からの敵地ソフトバンク3連戦でステップを踏む可能性が高い。「主力級が出てくると思いますし、そういうところを抑えてこそ」。強力打線との対決も制せれば、ヤクルトとのシーズン開幕カードへの投入がさらに現実味を帯びてくる。

「やっぱりローテーションに入りたいですし、そこに向けてアピールしていかないといけない。これだったら行ける、というモノをしっかり出していきたい」

3年ぶりの開幕ローテ入りに当確ランプがともる日はもう近い。完全復活へ、大器が着実に階段を上っている。【佐井陽介】

◆藤浪の今春キャンプ ワインドアップ投法に挑戦中。2月2日ブルペンでは足を上げた際に1度三塁側に視線を移す新スタイルを披露した。21年初実戦となった7日紅白戦はドラフト1位佐藤輝から空振り三振を奪うなど、2回を無四球で3奪三振1安打無失点。対外試合初戦の21日広島戦は3回を3奪三振2安打1四球で無失点と快投し、147キロの高速フォークで驚かせた。27日中日戦でも3回1失点と試合を作り、早くも21年最速158キロをたたき出した。

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