2センチにこだわった進撃の宇宙人が30メートルに苦しんだ。FA加入した巨人井納翔一投手(34)が、ヤクルトとのオープン戦に2番手で登板。3回からマウンドに上がり、4回4安打2失点だった。新たな試みとしてプレートにかける軸足を2センチだけずらしたが、フィットせず。また先発ではなかったため、登板直前のルーティンにしている50メートルのキャッチボールが出来なかったことも影響した。新天地での本拠地デビューは課題を残した。

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のそのそと、1歩1歩踏みしめるように井納がマウンドに進撃した。「ファンの方の目の前で投げられることを幸せに感じました」と上限5000人に設定されたスタンドを見渡した。3、4回と無安打に抑えるも、どことなく表情が浮かない。5回先頭の内川への2球目。カウント1ボールから捕手小林からの内角直球のサインにうなずいた。甘く入った139キロ直球を左中間席に運ばれた。

常時140キロ台後半の直球が持ち味のパワー投手だけに、痛打された139キロは失投に値する。身長2メートルの秋広には及ばないが、188センチの体が縮こまった。通常の先発登板時は直前に50メートル以上の距離で体を大きく使うことを意識してキャッチボールをする。この日は2番手登板だったため、ブルペンを目いっぱい使っても20メートルしか確保できず。ダイナミックなパワースタイルが鳴りを潜めた。

開幕までのオープン戦で、本拠地での登板機会は日程上、多くても2試合程度と予想される。ここ3年の東京ドームは防御率7・23。打ち込まれたDeNA時代から戦績を好転させるために新境地も試みた。プレートの三塁側端にかけていた軸足を2センチだけ中央側へ動かした。「もともと細かい性格なので。車の左側のサイドミラーの角度とか1週間に1回は気になって直す。自宅の車庫入れも壁ぎりぎりにこだわりますね」。分かるようで分からない持論を展開していたが、今回の2センチは不発に終わった。

登板最終イニングの6回は、1死から山崎を四球で歩かせてから代打荒木、村上に2連打を許して追加点を献上。「走者を出してはいけない場面でしっかりとアウトをとらなければ、失点につながることを改めて実感しました。次の登板に生かしたいです」と反省だけに終始した。進撃から快進撃へ-。開幕までに残された時間は、そう多くはない。【為田聡史】

▽巨人サンチェス(今季自身初の対外試合で2回無失点)「最初は力が入りすぎてしまったが、今の段階ではいい調整をして投げることができている」

▽巨人丸(今季の対外試合初安打を含む2安打)「まだまだ実戦の対応力が良くないので反応であったり考える力などもう少しならしていかないといけません。(今季初の有観客試合に)普段よりもモチベーションが上がりますし、その中でいいプレーができたらという思いが強くなりました」

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