阪神ドラフト6位の中野拓夢内野手(24=三菱自動車岡崎)が開幕1軍に大きく前進した。この日の全体練習から1軍メンバーが絞られ、昨季1軍で実績を残した3年目小幡が実戦機会確保のため2軍へ。残った中野は「まだまだ実力が足りないことは分かっている。それでも1軍に呼んでいただいたので、なんとか自分のアピールポイントをしっかりと首脳陣にアピールできるように」と、オープン戦で結果を出し食らいつくつもりだ。

キャンプでは積極的な打撃で評価を高めた。実戦11試合で19打数7安打、打率3割6分8厘、2打点をマーク。矢野監督も「打撃はすごくおもしろいし、足だって二塁をやるメンバーでは速い方。守備範囲だって狭いわけでもない。きっかけをつかめば、スタメンで出るくらいの力を持っている」と高評価。「まだ中野の全部が見えたわけではない。走攻守に関してまだまだ見たい」と、オープン戦で、その実力を見極める考えだ。

社会人屈指の守備力を誇る遊撃手としてプロ入りも、紅白戦3試合で3失策。中野は「自分自身は正直、守備の選手だと思っているのが、ちょっとキャンプで課題が出た」と反省しながらも、川相臨時コーチの教えもあり、現在はプロ仕様の守りに取り組む。二塁を重点的に練習することで、二遊間どちらも守れることもアピールする。

この日は入団後初めて甲子園で練習した。13年夏に日大山形の2年生二塁手として県勢初の4強入りして以来だった。「ワクワクした気持ちで今日は練習に入った。満員でプレーしている自分の姿を常にイメージしながらやっている。周りの景色とか風も含めてグラウンドに慣れていけば」。開幕1軍を当確させるためにも、5日のソフトバンク戦から勝負の3週間に臨む。【石橋隆雄】

◆中野拓夢(なかの・たくむ)1996年(平8)6月28日生まれ、山形県出身。日大山形で2年夏に甲子園出場。東北福祉大から三菱自動車岡崎を経て、20年ドラフト6位で阪神入り。座右の銘は「夢かなうまで挑戦」。契約金3500万円、今季年俸800万円(金額は推定)。171センチ、69キロ。右投げ左打ち。

○…巨人から移籍の阪神山本泰寛内野手も1軍に残った。二遊間だけでなく三塁、一塁もできる万能型の右の内野手としてベンチに欠かせない存在となっている。

キャンプでは実戦9試合に出場。打率2割7分3厘、1打点と打撃でもしぶとさを発揮している。矢野監督は「山本も本当に遊撃の心配はないと思う。よければ(投手の)右左関係なく出ていける」と新戦力に期待した。

◆阪神の二遊間 二塁糸原、遊撃木浪がレギュラー最有力。2人とも左打ちのため、右打ちの北條、山本は左腕対策でスタメンのチャンスがある。打撃力が評価された中野は、守り、走塁でもアピールを重ね1軍ベンチ入りを狙う。2軍で実戦を重ねることになった小幡、2軍キャンプ組の熊谷、植田も虎視眈々(たんたん)と1軍昇格を狙う。