封印を解き、両手を突き上げた。西武山川穂高内野手(29)が、オープン戦1号3ランを放った。

一塁側ベンチ前、エアハイタッチの流れから「どすこいパフォーマンス」を披露した。昨季限りで“卒業”を宣言していた、おなじみのポーズ。「やっぱりやっていきたい。やらないでおこうかなと思ったけど。いろんな方に期待されている気もしたので。応援してくれる人のためにやりたい」と解禁した。

ベンチ横ではカメラが待ち受けた。昨年12月の契約更改の際「僕、もう『どすこい』をやらないです」と公言。右足首を痛めたこともあり、シーズンの成績は打率2割5厘、24本塁打、73打点と、前年まで2年連続本塁打王に輝いた男の数字ではなかった。「僕は野球に集中しますから」と1度は封印。しかし、2軍キャンプ地・高知での阪神戦、場外弾を放った際に披露し、思い直した。カメラを通して、その先に待っているファンの姿を想像すれば、封印という選択肢は自然となくなった。

オープン戦だからこそ、五感を研ぎ澄ます。「シーズンで使う球場は、球の見え方、球場の雰囲気、打球の飛び方とかいろいろある。それを2日間できたのはよかった」。昨季は札幌では打率2割を切り、右足首を負傷した“鬼門”でもある。5回には左中間を割る二塁打も放った。「これだけ振って、バランスが取れているので(右足首は)大丈夫。去年はここまで振れなかったですから」。4番復活がV奪還には必須条件。不安を一気に押しだした。【栗田成芳】

▽西武辻監督(山川の3ランなどで、2月の対外試合から7試合目にして初勝利)「4番というのは山川がどっしり座ってくれているのが、一番居心地がいい。気分は良くないよ。やっぱり、勝ちがないということは」