開幕投手を務める阪神藤浪晋太郎投手(26)が初の大役を前に、アクシデントに見舞われた。開幕前最終登板のオリックス戦(京セラドーム大阪)の初回に、爪で右手親指を裂傷し、出血した。球場がざわつく中で続投し、4回1失点と粘りを見せた。「肉がえぐれてしまった」と自ら説明したが、「1週間あれば大丈夫」と26日のヤクルトとの開幕戦(神宮)への先発に意欲を示した。

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たった4球を投げただけなのに、藤浪の右腰付近には血を拭った跡が目立っていた。1回裏、1番佐野皓にストレートの四球を献上。すぐさま福原投手コーチとトレーナーがマウンドまで駆けつけた。背番号19が三塁ベンチへ歩き始めると、京セラドーム大阪の球場全体がザワついた。

「今日はブルペンですごい良かったので、いい感じで入れるかなと思った初回に…。人さし指の爪が親指に刺さって、結構肉がえぐれてしまった。血が止まらなかった」

1回表が終わった直後、投球練習中に右手親指を負傷していた。「気になったのは確かですけど」。開幕前最後となる貴重なマウンド。治療の後、続投を選択した。2回以降も毎イニング走者を背負った。裂傷の影響もあり、今春の実戦では珍しく直球の抜け球も続いた。4イニング目には2度も暴投。それでも4回を5安打3四球1失点と粘り、追加点は許さなかった。

直球の最速は157キロ、スプリットは150キロ。3番吉田正には外角から曲げる「バックドア」のカットボールで見逃しストライクも奪い、「カウント球でも使える。要所で使えれば」と手応えも得た。当初予定していた100球前後には届かない69球で降板。「正直、長いイニングを投げたかったですけど、こればかりは仕方がない」。大事に至らなかった事実が何よりの朗報となった。

登板後は患部の状態について「(裂傷が)深くいっているので、しっかり治療しないといけない」とした上で「ただ、1週間あれば大丈夫かなと思います」と見通した。矢野監督も「あれ以上投げて悪くなっても、と思って代えた。次の登板に関しては問題ないかな」とイメージ。開幕投手の座は揺るがない。

3月26日、プロ9年目で初めて大役を任される。チームを背負う。「日にちは決まっていますし、開幕は待ってくれない。調整して頑張ろうかなと思っています」。準備期間は残り6日。アクシデントに動揺している暇はない。【佐井陽介】

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