阪神のドラフト1位佐藤輝明内野手(22)がハマの夜空に衝撃のアーチをかけた。6回に右中間の場外へ特大の3号ソロ。過去に横浜スタジアムではフィルダー、巨人松井秀喜、DeNA筒香ら超一流スラッガーが場外弾を放っており、プロ1年目のルーキーが早くも飛距離で肩を並べた。猛虎打線はDeNAを圧倒し、貯金5で首位をガッチリと守った。

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どこまで飛ぶのか。打球の行方を確認する必要はなかった。6回先頭。国吉の3球目カットボールを捉えると、佐藤輝はゆっくり歩みを進めた。1歩、2歩…。3歩目でバットをそっと手放し、感触をかみしめるように下を向き、走り出した。放物線は右中間場外へ消えた。

「十分でしたね。十分だったので、ちょっとバットを投げちゃいました。場外という意味では初めてかもしれないです。すごい良い当たりで良い感触だったんで、しっかり当たれば、あそこまで飛ぶなというのは分かりました」

納得の3号ソロは球場外の通路まで到達する推定140メートル弾。この回一挙6点の口火を切った。

試合前まで12試合に出場し、打率1割6分3厘と苦しんでいた。試合前には矢野監督から5分間、井上ヘッドコーチから10分間の密着指導。「自分では分からない“割れ”が出てないんじゃないかと言われて」と修正に励んだ。期待に応える7試合、24打席ぶりのアーチ。「矢野監督と井上ヘッドに指導いただいたおかげです。いつも同じ位置から見てくれている監督だったりコーチの助言はありがたい」と感謝。指揮官は「伝説というか、そういうものがまたひとつスタートした」と最大級の賛辞を送った。

レジェンド助っ人をほうふつとさせる弾道だ。89年8月13日の大洋戦。フィルダーが放った1発は左翼スタンドを越え、球場外の公園をかすめ、さらに奥の道路まで飛んでいったという。この試合でフィルダーは1試合3本塁打、うち2本が場外アーチと驚異的なパワーを披露。シーズンでは38本塁打を放った。まだ22歳のルーキーがレジェンド助っ人級の衝撃を残した。

昨季対戦チーム別トップの打率を記録した相性のいいDeNAから9得点。いきなり打ちまくり、貯金は5に増えた。勝っても負けても、連日話題の中心になることを問われると「そこに対してのプレッシャーはあんまないです。しっかりどんな場面でも自分のやるべきことをやるだけというのはいつも思っていることなので、そこにたいしてのプレッシャーはない」と言い切った。首位を走る虎には頼もしすぎるルーキーがいる。【中野椋】

▼佐藤輝が3号。4月までに3本塁打を放った阪神の新人は、田淵幸一69年4月19日中日戦、近本光司19年4月18日ヤクルト戦に次ぎ、2リーグ分立後3人目。 ▼このペースで佐藤輝が本塁打を打ち続ければ、年間33本塁打に達する。プロ野球新人最多は31本塁打で、59年桑田武(大洋)86年清原和博(西武)の2人。更新はなるか。

 

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