今年こそ4連敗の悪夢に別れを告げる ! 阪神鳥谷敬内野手(36)が沖縄・宜野座キャンプ休日の9日、日刊スポーツ独占企画「向上心」のキャンプ特別1人語りバージョンで、残りの現役生活に懸ける覚悟を激白した。今季は三塁に加えて二塁を守る可能性も浮上しているが、現状に対する本音は前向きそのもの。現役生活中に絶対に成し遂げたい「悲願」についても熱く語った。【取材・構成=佐井陽介】

日刊スポーツ読者の皆さん、鳥谷です。18年、今年こそは優勝できるように向上心を持って頑張ります。変わらぬご声援のほど、よろしくお願いします !

沖縄キャンプでは去年守った三塁だけでなく二塁練習も始めました。個人的には遊撃レギュラーという立場を失った時点で、これからは試合に出られるポジションを探していくしかないんだと覚悟はしていました。まだ自分がレギュラーに返り咲いたとは思っていないし、守れと言われたポジションでやるだけ。だから、二塁が嫌だ、という感覚は全然ありません。

三塁にしろ、二塁にしろ、そのポジションでミスすれば、自分が苦しくなるだけ。そういう意味では、どちらのポジションもしっかり練習をして、人のせいにせずに済むようにしたい。これだけ練習したんだからと、ミスをした時にその事実を受け止められる状況を作っておかないと、人間は弱い部分が出てしまいますからね。練習をできていなかったとか、そんな言い訳だけは絶対したくない。だからキャンプ初日に「二塁も練習しておいてくれ」と言われて、すぐに去年最初に使っていた二塁用グラブを郵送してもらいました。

1年前の沖縄キャンプは文字通りゼロからの再スタートだったと思います。今はさすがに「ゼロから」ではないと思いますが、100あれば50ぐらいのスタートかな、と感じています。複数のポジションをやるのは絶対的なレギュラーではないけれど、しっかり頑張ればそのポジションを守れる中でのスタート。一方で、ケガをすれば出られなくなる立場だとも分かっています。まずはもう1度、しっかりポジションを確立できるようにしたい。

もちろん、自分はレギュラーだと決まっている方が楽でしょうけど、これも自分がもらった試練。チームが勝つために自分が求められたことに対して、しっかり準備したい。言われたポジションで1年間出続ける準備をしたい。今年6月で37歳。試合に1年間出られればチームに貢献できたということになるだろうし、試合の後半から出るようになっていれば貢献度は減ったということになる。ポジションも打順も言われたところで結果を出すのが仕事。試合に出続ける中で、場面場面でしっかり仕事ができればと思っています。

去年は皆さんに支えられて通算2000安打を達成することができました。今年も試合に出続ければ、2000試合連続出場、阪神歴代最多安打の可能性があるそうですね。ただ、これらは長くプレーした結果作られた数字であって、1年1年を見れば、すごい数字を残しているわけではないので。そういう意味では、これからも試合に出続けるという持ち味を出し続けるしかないと思っています。

今年の公約は…3割3本30打点なんてどうでしょうか? それでは打点が少なすぎますね(笑い)。ホームランを50本60本打てるなら打ちたいけど、それは無理。だったら、打順が後ろの方なら打点を増やしたいし、前を打つなら出塁率、打率を考えたい。中でもあえて1つあげるなら、打率3割になりますね。

でも、やっぱり目標は個人記録ではなく優勝になります。僕自身は日本シリーズに嫌なイメージしかないんです。14年に日本シリーズでソフトバンクと戦いましたが、あの時はリーグ制覇しての日本シリーズではなかった。リーグ優勝しての日本シリーズは05年のロッテ戦、4連敗した思い出しかないんです。この嫌なイメージを払拭(ふっしょく)するまでは、引退できないと思っています。

(阪神タイガース内野手)

 

◆05年日本シリーズ 岡田彰布監督のもと2年ぶりのセ・リーグ優勝を果たした阪神は、日本シリーズで公式戦勝率2位ながらプレーオフ(現クライマックス・シリーズ)を突破したロッテと対戦。千葉マリンで行われた第1戦は7回裏1死、史上初の濃霧コールドで1-10の大敗。これで勢いをそがれ、4連敗で敗退した。4試合で総得点は4、総失点33という屈辱的な結果。鳥谷は全4試合に2番・遊撃でフル出場し14打数4安打、打率2割8分6厘だった。