広島が乱打戦を制し、2連勝で勝率を5割に戻した。8回に巨人に6点差を追いつかれたが、同点の9回に菊池涼介内野手(31)が決勝の中犠飛。守護神のドラフト1位栗林良吏投手(24)が圧巻の3者連続の空振り三振で、1点リードを死守した。貧打が続いていた攻撃陣が今季最多16安打と大爆発。苦しみながらも勝利をもぎ取り、2カードぶりの勝ち越しを決めた。

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菊池涼が、壮絶な乱打戦に終止符を打った。8回に6点リードを追いつかれ、完全に巨人に流れが傾いた直後の9回。先頭の代打中村奨が右中間フェンス直撃の二塁打で口火を切ると、代打三好が2ボールから1発で一塁線への犠打を成功させた。1死三塁から菊池涼が中川の高めスライダーをたたき、打球は中堅フェンス際へ。中村奨が勝ち越しの本塁を踏んだ。

お立ち台に上がった菊池涼はもつれにもつれた試合だっただけに、開口一番「本当にしんどかったです」と苦笑い。決勝の一打を放ったが「最後に僕がたまたま犠飛を打ちましたけど、それまでに奨成がしっかり打って、三好がバントを決めてくれた。若い選手たちのおかげです」と後輩の奮闘をたたえた。

試合終盤まで、カープが主導権を握っていた。3試合連続で4番に座る西川が、今季初の4安打。先制打を含む3本のタイムリーなどで、7回までに8点を奪っていた。だが8回、勝ちパターンの森浦、大道、塹江が6点のリードを守れず、同点に追いつかれた。苦しい試合展開になっただけに、佐々岡監督は「こういう試合をしたくなかった。嫌な雰囲気の中で、9回に奨成がよく打ってくれた。キクもしっかりとね」と話す一方で「(野村)祐輔が頑張ってくれた中で勝ちを消したっていうのは、本当に申し訳ない」と笑顔はなかった。

前日24日までの4回終了まで41イニング連続で1イニング複数得点がなかった打線が、今季最多16安打で9得点をたたき出した。佐々岡監督は「この3連戦はつながりがあった。なかなかビッグイニングがなかった中で、あの(6回の)5点は大きかった」。今カードから鈴木誠と西川の打順を入れ替えた。その新打線が機能し始めている。26日の休日を挟んで、27日から9連戦を迎える。指揮官は「しっかりともう1度引き締めて頑張ります」と気合。ここから、波に乗っていきたい。【古財稜明】

▽広島西川(6回1死満塁からこの日3本目の適時打となる中前打)「今まで得点圏で打てていなかった分をまだまだ取り返していきます」

▽広島中村奨(9回、先頭の代打で出場し、右中間フェンス直撃の二塁打で決勝点へのチャンスメーク)「追い込まれていたので、なんとか食らいついていきました。チャンスを作ることができてよかった」