日本ハムは1日、ベンチ入りメンバー22人と苦しい状況ながら、9回に3点差をひっくり返し、今季初のサヨナラ勝ちを決めた。無死一塁から3年ぶりに3番に座った中田翔内野手(32)が4号2ラン。大田泰示外野手(30)の適時二塁打で同点とし、2死満塁から杉谷拳士内野手(30)が押し出し四球を選び、白星を呼び込んだ。球団は試合後、新たに選手4人、コーチ1人、チームスタッフ2人に新型コロナウイルス陽性判定が出たことを発表。2日西武戦(札幌ドーム)の中止が決まった。

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中島、西川ら主力が新型コロナ陽性判定を受けての緊急事態により、日本ハムのベンチ入りメンバーは22人。それでも劣勢を一丸でひっくり返す逆転劇に、1万2422人のファンが沸いた。同点に追いつき、なお2死満塁の9回。しびれる場面でサヨナラ勝利を決めたのは元気印・杉谷だった。3ボールからの4球目。内角直球を見送った。決勝の押し出し四球でヒーローとなったムードメーカーは「全員の力が9回に結集されて、僕のところに回ってきました。なんかすみませーん!」。持ち前の明るい振る舞いで本拠地を盛り上げた。

3点を追う9回。西武の守護神増田を攻め立てた。のろしは18年以来の3番に座った中田の1発。右前打で出塁した平沼を一塁に置いての初球、154キロ直球をまずは豪快に空振り。フルスイングで沸かせると、カウント2-1からの4球目、高めのスライダーを今度はしっかりバットに乗せた。「割り切って自分のスイングをしようと思った」。前カードソフトバンク戦では2番に入るなど、不振の主砲の左翼席中段への豪快な2ラン。流れを一気に引き寄せた。

続いたのは6番大田だ。1死一塁から左翼フェンス直撃の同点二塁打。そして2つの四球から2死満塁とし、打席は今季はここまで無安打の杉谷。ベンチからは近藤や上沢らから「バット振るな!」とげきを飛ばされた。指示通り? バットを1度も振ることなく、“選球眼”で殊勲の四球をもぎ取ったヒーローは「ベンチの声が、僕を後押ししてくれました」と、思い切り声を張った。

コロナショックを吹き飛ばすような劇的勝利となったが、球団は新たに選手4人、コーチ1人、スタッフ2人の新型コロナウイルス陽性判定が出たと発表。今日2日西武戦(札幌ドーム)の中止が決まった。この危機的状況をチーム全員で乗り越える。【山崎純一】

▽日本ハム栗山監督(サヨナラ勝ちに)「本当に苦しんでいるけど、こういう1つ、みんなでなんとか、なんとかという気持ちの中で1つ勝てたのは大きい。本当によくつないでくれた」

▽日本ハム谷川(移籍後札幌ドーム初登板で初勝利)「点を取られているので正直、素直に喜べないのが率直な気持ちです。1本打たれてしまう甘さが出たかなと思います」

▽日本ハム上沢(7回3安打2失点も勝ち負けなし)「自分のミスで2点を許してしまい、申し訳ない気持ちです。先に点を与えてしまい、味方が同点に追いついてくれた後も勝ち越しを許す結果になってしまい、悔いが残る登板でした」

▼日本ハムが今季初のサヨナラ勝ち。3点差以上の逆転サヨナラ勝ちは04年9月20日ダイエー戦以来、チーム17年ぶり。前回は9-12で迎えた9回裏、セギノール、オバンドーの連続適時二塁打で同点に追いつくと、2死満塁から新庄が一塁走者を追い越し本塁打取り消しとなる「幻の本塁打」(記録は単打)でサヨナラ勝ちした。杉谷のサヨナラ打点は12年8月8日ソフトバンク戦(二塁打)、19年4月25日楽天戦(単打)に次いで3度目。

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