ガコンッ! 無人の左中間席に飛び込んだ打球が音を立てた。阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)が9回にサンズに続く2者連続となる2戦連発の9号ソロでとどめを刺した。「打った瞬間は分からなかったですけど、入って追加点になったのでよかった」。打った瞬間の手応えはなかったが、それでも放物線を描く。打たれたヤクルト右腕杉山もぼうぜんとした表情だった。

8回には左腕坂本から背中にプロ初死球を食らった。それでも「全然大丈夫」と、変わらぬフルスイングを見せた。オープン戦では6本中4本が逆方向だったが、公式戦では9本目で初めての逆方向だった。矢野監督は「持ち味やし。逆方向はいつでも入るというか、特に神宮とかになれば、より行くし」と、もはや驚かない。阪神の新人左打者としては19年近本に並ぶ最多9本となり、球団史上初の2桁本塁打に王手をかけた。2桁到達は通過点に過ぎない。

9本塁打、25打点はチームトップ。打点は巨人岡本和と並びリーグトップタイ。2回の第1打席では先発左腕田口の内角の動く球を左前へはじき返し、3戦連続のマルチ安打。打率も2割6分1厘まで上昇してきた。2日広島戦では初の4番三塁を任されたが、この日は定位置の6番右翼で出場。「誰かが凡退しても、その後に誰かが打つというのが続いていて、助け合いじゃないですけど、そういうことができているので勝てていると思います」。いずれもリーグトップ153得点、打率2割6分3厘を挙げている猛虎打線のすごさはお互いをカバーできる点にあると感じている。

この日は同じ新人の中野も1号2ランを含む3安打と大活躍。佐藤輝は「やっぱりルーキー2人でチームを盛り上げていけていることはすごくいいなと思います」と笑った。欠かせない打線の軸として、白星に貢献していく。【石橋隆雄】

▼佐藤輝が今季3度目の2試合連発で早くも9号。新人がチーム31試合目に9号は59年桑田武(大洋)23試合、49年大岡虎雄(大映)と03年村田修一(横浜)26試合、50年戸倉勝城(毎日)30試合に次いで5位のスピードだ。

▼阪神の左打ち新人の9本塁打は、19年近本光司と並び史上最多。2桁本塁打に到達すれば、新人左打者では球団新人初となる。右打者も含めると、80年岡田彰布18本以来41年ぶり。なお最多は69年田淵幸一の22本。

▼プロ野球新人左打者の2桁本塁打は過去18人。直近は16年吉田正尚(オリックス)10本塁打。なお最多は46年大下弘(セネタース)20本。

▼この日は同じルーキーの中野が1号。阪神の新人アベック本塁打は72年5月30日大洋戦の望月充と中村勝広以来、49年ぶり。

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