昼間は史上最強の猛虎だ。阪神が糸井嘉男外野手(39)の決勝2号2ランでDeNAに逆転勝ち。デーゲームは引き分けを挟んで、開幕から無傷の14連勝。2リーグ制後の新記録を打ち立て、貯金も今季最多の14に増やした。試合中にボヤ騒ぎで、阪神ナインが三塁側ベンチからグラウンドに飛び出すハプニングもあったが、勢いに陰りはなかった。

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糸井は鮮やかなピンクに包まれた腕に力を込めた。同点に追いついた直後の5回無死三塁。DeNAピープルズの142キロ直球を、迷わず振り切った。「完璧でした」。右翼スタンド上段に届く決勝の2号2ラン。直前にはサンズの適時二塁打で一塁走者の佐藤輝がヘッドスライディングの激走で本塁に生還していた。「輝から始まって、サンズもつないで、なんとかチャンスだったんで、絶対に点に絡みたいなと思って、振り抜きました」。近大の後輩からバトンを受け取り、ベテランが逆転劇を締めた。

大山の負傷により、7日DeNA戦に続き、今季2度目のスタメン出場。「毎日、準備はしているんで。いい準備ができて、いい結果が出て良かった」。開幕から代打が続いても集中力を切らさず、ベンチでは若い選手たちに交ざって盛り上げてきた。使用するバットは、19歳年下の小幡のものだ。春季キャンプでの交流による「気づき」も大切にする。先発試合では2戦連続本塁打と勝負強さを発揮。矢野監督も「素晴らしいホームランやったし。ベンチもすごく盛り上がる。いいところで一気に行けたという攻撃で。最高でした」と絶賛した。

母の日で糸井も打撃用手袋やリストバンドなど、アイテムをピンク色にまとめた。「いかにピンク色をそろえるか考えていました。まぶしかったです」。お立ち台では糸井節でおどけたが、込めたのはもちろん感謝の思い。2ランを放ちベンチに戻った後も、テレビカメラに向かってピンク色の腕を指さした。「大人になるにつれて親のすごさだったり、ありがたみはすごく感じます。なかなか『ありがとう』と伝える機会もないので、そういうメッセージを込めました」。母はかつて、バレーボールの国体選手だった。年を重ねる度に、偉大さを実感する。

これでデーゲームは、引き分けを挟み開幕から無傷の14連勝。2リーグ制後では新記録だ。9回の攻撃前には、ボヤ騒ぎで、ベンチに煙が入りこむアクシデントもあったが、ナインに動揺はなかった。貯金も今季最多14。「大山も離脱していますけど、みんなでカバーしあって、1勝1勝積み重ねていけるように頑張ります」と糸井。昼間は史上最強の猛虎が、さらに加速した。【磯綾乃】

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