広島が8日ぶりの試合で最大4点差を追いつき、引き分けに持ち込んだ。新型コロナウイルス感染者が12人出た影響で、直近の5試合が延期。ようやく迎えた「日本生命セ・パ交流戦」の初戦で西武と対戦し、大きく顔ぶれが変わった打線を4番西川龍馬外野手(26)が引っ張った。2安打1四球で2得点。チームで最長の11日ぶりとなった実戦でブランクを感じさせなかった。

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「緊急事態打線」を4番西川がけん引した。8日ぶりの試合はスタメンが大きく変わった。その中で中軸を任されたバットマンは、2安打1四球で2得点。誰よりもブランクが長い中でもチャンスメーカーに徹し、14安打4得点の打線を勢いづけた。再出発を切ったチームは苦しみながら、4番とともに最大4点差を追い付いた。

11日ぶりの実戦の1打席目から体が反応した。2回無死から西武の先発ダーモディに追い込まれながら真っすぐをセンター返し。6回も無死から詰まりながらも左翼前に落とすポテンヒットで出塁。いずれもホームを踏んだ。7回無死一塁からは四球を選んで、坂倉の同点犠飛につなげた。

19日までの巨人2連戦は球団独自の濃厚接触者として広島に残り、自宅待機していた。「久しぶりにカープの野球を外からゆっくり見られた。改めてちゃんとやらないといけないと思った」。チームを代表してグラウンドに立つ責任感を再認識。主力がいないチーム状況も自覚を強くさせた。

開き直れる強さが、ブランクを埋める働きにつながっている。「いい意味で割り切って。別に打てたらラッキーくらいに、力が抜けて楽に入れたのかもしれない」。開幕前のケガで出遅れた17年もそうだった。2軍で急ピッチで調整して、1軍昇格後8日目に迎えたシーズン初打席の初スイングでチームの連敗を止める決勝打を放っていた。

主力や若手を欠く中で、交流戦初戦はドローに持ち込んだ。佐々岡監督は「粘って同点まで追いついて、みんなでつないでつないで、いい攻撃だった」とたたえた。危機的なチーム状況に西川も表情を引き締める。「何とか四球でもエラーでも塁に出て、みんなでつないでいきたい。みんなが帰ってくるまで我慢してやることが大事なんじゃないかなって思います」。チームメートが帰ってくるまで、西川が中軸としてチームを支えていく。【前原淳】