狙うは頂点しかない。オリックス山本由伸投手(22)が楽天とのリーグ戦再開ゲームで、首位の座にまた1歩近づく白星をつかんだ。

交流戦MVPに輝き、東京五輪にも選出された右腕が「この3連戦、すごく大事。初戦は絶対、勝ちたい」と気合を見せたマウンド。6回3安打2失点(自責1)でリーグトップタイの7勝目を挙げた。

ファウルで粘られる度に、右拳をグラブにドスンと入れた。初回、打者4人に31球を要し、なかでもファウルは計12球を数えた。「ファウルが増えて、僕もボールを投げちゃった」と3番浅村に四球を許し、ベンチに引き揚げる際は表情を曇らせた。だが、楽天打線の“カット打法”の裏をかいた。「当てにくる打撃になっていた。ファウル打ちは、スイングできない分、長打もなくなる。(捕手の)寅威さん(伏見)と何も変えずいこうと。自分の投球を崩されると、ズルズルといってしまうので」と冷静に分析しながら勝利を呼んだ。

6回での降板に中嶋監督は「次、いっぱい投げてくれるんじゃないですか」とジョークをさく裂。侍のエースだからこそ成立する冗談だった。チームは17年5月28日~6月4日以来の4年ぶり7連勝で、単独2位に浮上。19日の直接対決で勝てば、楽天と並んで今季初めて首位に立つ。山本は言う。「僕もチームも、すごくいい状態。チーム一丸で首位を目指してやっていきたい」。リーグ勝ち頭に並ぶだけでなく、防御率2・04はリーグトップ。奪三振99もリーグトップで「投手3冠」だ。山本には頂点の景色がよく似合う。【真柴健】