6年目のソフトバンク谷川原健太捕手(24)が、プロ初出場でいきなりプロ1号本塁打を放った。

この日1軍に昇格して「7番左翼」で先発。0-0の5回無死、第2打席で立野から右翼スタンドへたたき込んだ。

谷川原の父啓将(けいすけ=52)さんは、車を運転中に息子のプロ1号を知った。

「普段は褒めないですけど、今回は褒めてやりたいなと思いますね」

少年野球の愛知・向山ビクトリー時代は、啓将さんもコーチとして谷川原の指導にあたった。「小学校のころは親子そろって一生懸命やってました」。しかし思春期を迎えた中学生になると、次第に親子で野球の話をしなくなった。「口数が少なくて黙々とやるタイプ。あまり突っ込んだ話をしても本人は嫌がるかなと…」。現在も頻繁に連絡を取ることはない。父親としても元コーチとしても、自由に野球をやらせた。

「6年もかかったんですが、ようやくプロとしての第1歩を踏み出せたかなという感想を持ってます」

谷川原家で父と子の会話は多くなかった。それでも啓将さんは、息子の初出場を車に乗りながらも気にかけた。「これ以上ない結果ですね」。心の中で、息子を思い切り抱きしめた。【只松憲】