首位ターンは譲れない。阪神が投打をテコ入れし、五輪前最大のヤマ場に挑む。前半ラストは6日からのヤクルト3連戦(神宮)を手始めに、巨人、DeNAと続く9連戦。矢野燿大監督(52)は不振の大山を7番まで下げる方針で、同じく不調の岩貞は抹消。6日に負け、巨人が勝てば首位陥落の危機で、可能な限りの必勝態勢を敷く。中野が「9連勝するぐらいの気持ち」と意気込むなどナインも気合十分。安定感抜群の青柳を先陣に立て、まずはツバメを退治する。

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首位のまま前半を終えられるのか、陥落して五輪ブレークに突入するのか。いよいよ6日のヤクルト戦から前半ラスト、阪神の命運を握る勝負の9連戦が始まる。矢野監督はまず課題の中継ぎ陣、「投」に手を打った。5日、不調の岩貞の出場選手登録を抹消した。開幕当初は主に勝ち試合の7回を担ったが、5月末の交流戦から急降下。勝利の方程式を外れた後も復調の兆しが見えず、防御率は4・18と安定感を欠く。投手主将を務める左腕はブルペンの盛り上げ役も担っていたが、思い切った断で2軍から代役を引き揚げる。

「打」にもテコ入れを加える。矢野監督は4日の広島戦後「火曜日(6日)に関してはリュウ(梅野)をちょっと上げて、悠輔(大山)を1つ下げてと思っている」とさらなる組み替えを明言。大山は4番から6番に下げたが、トータルで9試合連続打点がない。チームの主将にもさらなるメスを入れ、6番梅野、7番大山でつながる打線を目指す。6月29日の再昇格後、見せ場のない小野寺も降格。今できる可能な限りの策を講じ、貪欲に勝ちを求める。

首位とはいえ、投打の主将を動かさざるを得ない正念場だ。巨人には6月18日に最大8差つけたが、約2週間で1・5差まで迫られた。陥落危機は何とか2度しのいだが、6日に負け、巨人が勝てば首位から落ちる土俵際は変わらない。3位ヤクルトも3・5差に迫る。しかも9連戦の相手はヤクルト、巨人、DeNA。リーグ戦再開後、計2勝6敗1分けと負け越した3チームだ。中でも直接対決となる巨人は丸や岡本和らが好調で、リーグトップ8勝の戸郷と高橋の先発が予想される。まさに、前半戦最大のヤマ場。矢野監督も「思い切っていきたいけどね」と力を込める。

6日のヤクルト戦先陣は防御率リーグ1位の青柳が切る。6月は4戦4勝。9連戦で2度先発が見込まれる右腕にまず1勝白星を運んでもらい、勢いをつけたい。青柳も「(チームは)今苦しいところですけど、投げる試合は全部勝ちたい」と2戦2勝を宣言した。

もちろん野手も気合十分だ。代表取材に応じたルーキー中野は、全勝を狙う意気込みを明かした。「苦しい状況ではあるけど、9連勝するぐらいの気持ちで頑張っていきたい」。猛虎一丸、総力を挙げて首位を守る。いや、もう1度、2位以下を突き放す。【中野椋】

▽阪神サンズ 前半戦最後の9連戦は大事になると思う。いい野球をして、力強く前半戦を終えられるように頑張りたい。

▼阪神は2位巨人と1・5ゲーム差あるが、6日にも首位から陥落する可能性がある。同日のヤクルト戦に敗れ、巨人が中日に勝つと、阪神が44勝29敗3分けで勝率6割2厘7毛。巨人は41勝27敗10分けで同6割2厘9毛となり、わずかながら阪神を上回る。巨人の引き分けが10と多いための珍現象で、貯金は阪神15に対し巨人14と阪神の方が多く、巨人は阪神に「マイナス0・5差」の首位となる。阪神が陥落すれば4月3日以来の2位になる。

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