○+○=MVP! 全パ・楽天島内宏明外野手(31)が決勝打を含む3安打3打点と活躍し、地元仙台でMVPに輝いた。同点の8回1死一塁、広島栗林の宝刀フォークを右翼線へはじき返し、送球間に三塁へスライディング。最後は土に尻をつけながら、歓喜にわく三塁側ベンチへガッツポーズで返した。MVPの賞金300万円は「親に恵みます」と笑った。

“熱男”の粋な計らいにバットも乗った。10年目で初出場。独特の緊張感の中、2日続けてソフトバンク松田に遮光用のアイブラックで目の下に「○×」と書いてもらった。この日は前日とは逆の、左目の下に○、右目の下に×。「すごくリラックスして入れました」。お立ち台には、両目の下とも○で上がった。

母校の後輩も背中を押してくれた。第1打席は明大で5学年下の中日柳から中前打、第2打席は同8学年下の広島森下から右前適時打。ともに初球の直球を捉えた。「今日は本当にできた後輩ですね。後輩から全然打てていないので悩んでたんですけど、祭り気分でいけました」と球宴で“明大魂”が騒いだ。

前日に続き田中将、浅村が体調不良で欠場。「楽天の王と飛車がいない感じ。ファンの皆さんは寂しい思いをしたと思うので盛り上がってよかった」。震災時の11年以来10年ぶりの仙台開催。試合前に被災時1歳だった宮城の野球少年がスピーチした。「グッとくるものがあった。10年たって震災はこの仙台ではつきもの。被害にあった方々に野球でちょっとでも忘れられる瞬間があれば」。杜(もり)の都の夜空に願った島内の思いは、きっと届いたはずだ。【桑原幹久】

▽全パ・楽天小深田(8回に島内の適時打で一塁から生還)「島内さんがライト線を抜いたので、これはもうかえるしかないと思って一生懸命走りました」

▽全パ・楽天松井(9回を3人で締め球宴初セーブ)「どんな手を使ってでも島内さんにMVPを渡すんだという気持ちで投げました」

▽全パ・楽天宋家豪(8回から球宴初登板。1回2失点も同初勝利)「少し悔しさは残りましたが(自己採点は)80点くらい。オールスターのマウンドに立つのは簡単ではないので、おまけの点数です」