後半戦の1軍先発ローテ入りを狙う高卒2年目左腕及川雅貴投手(20)が、5回2安打1四球1失点、5三振を奪う好投でアピールに成功した。

完璧な滑り出しだった。初回、先頭の外崎を直球で追い込むと、低めの変化球で空振り三振。2番森を変化球で二ゴロに打ち取ると、3番呉には外角に149キロを投げ込み見逃し三振を奪った。

2回は先頭中村に右前打を許したが、1死一塁から岸を三ゴロに打ち取り、併殺打に仕留めた。

3回は2つの空振り三振を奪い3者凡退。4回は1死から四球を出したが、呉を遊ゴロに打ち取り、再び併殺打で結果的に3人で切り抜けた。

5回は先頭の中村に、高めに浮いた直球を左中間席へ運ばれた。だが、失点はこのソロ本塁打のみ。63球と余力を残しマウンドを降りた。

約2カ月ぶりの先発登板となった、前回24日のウエスタン・リーグ中日戦では3回無安打無失点。矢野監督からは「打者目線での打ちにくさ」を求められていたが、この日は緩急を駆使し、山賊打線を翻弄(ほんろう)した。指揮官の前で成長を示す投球だった。

打席でも完璧な予行演習を済ませた。2回裏無死一塁の第1打席。1球で犠打を決めチャンスを拡大させた。その後近本の適時打、佐藤輝の3ランで4得点。先発投手として、9番打者としての役割をきっちりと果たし、打線の援護を呼び込んだ。

横浜から19年ドラフト3位で阪神へ入団。今季はリリーフで15試合に登板し防御率1・56と抜群の安定感を誇っている。後半戦の秘密兵器へ、大きな期待を抱かせる投球だった。