試合の行方を決定づけたのは4番の1発だ。阪神大山悠輔内野手(26)は8試合ぶりのアーチを決めた。3番サンズの2点二塁打でリードが5点に広がった直後の5回無死二塁、1ボール。左腕桜井の外寄り高め141キロツーシームを逆らわずに強振し、右中間最深部に14号2ランを運んだ。

「5点ありましたけど、本当に終わるまで何があるか分からないのが野球。1点でも多くということを考えていました」。自身10打席ぶりの安打、14日広島戦以来の本塁打に「個人的にも良いスイングができた。それを続けていけるように」と力を込めた。

ただ、首脳陣が求めるレベルはまだまだ高い。矢野監督は序盤の好機での凡退に注文をつけることも忘れなかった。2点リードの3回無死一、二塁で右邪飛。「悠輔があそこで何とかしていくことは、オレは必要なことだと思う。あそこで一気に降ろせる可能性もあった。勝ったからこれでいいや、というところではないかなと思う」。

もちろん、誰よりも本人が悔しさを持っているはずだ。試合後、大山はアーチだけに浮かれることなく、冷静に足元を見つめ直していた。「何が良かったのか、反省するところがいっぱいあるので、そこをしっかりつぶしながらまた1戦1戦頑張ります」。16年ぶりのV奪回へ、いよいよ勝負の季節に突入する。主将の本領発揮に期待がかかる。【佐井陽介】