DeNA三浦大輔監督(47)が日刊スポーツ紙上でチームや球界を語る「月刊ハマの番長」8月号。「今月の一文字」は「輪」。東京五「輪」では、チームから金、銀メダリストを輩出しました。牧秀悟内野手(23)森敬斗内野手(19)の若手コンビは後半戦、チームの「輪」に新しい風を吹かせてくれています。

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今月の一文字は「輪」です。東京五「輪」での日本代表の戦いぶりは、より結束して「輪」になって戦っていると感じました。DeNAからは(山崎)康晃が金、オースティンが銀とメダリストが2人。福本(誠=打撃投手兼査定担当補佐)もチームスタッフとして金メダルに貢献しました。

康晃とオースティンの直接対決はありませんでしたが、日本と米国が決勝で戦うという大会前に思い描いた理想の展開になり、オースティンが打って、日本が勝ちました。オリンピック(五輪)を見て、野球をやりたいと思う子どもがひとりでも多く増えてくれたらと思いました。

康晃は今年のキャンプはファーム(2軍)スタートにしました。本人にとって何が一番いいのか。1月にキャンプメンバーを決める時に「もう1度、状態を戻すためにはファームスタートの方が」と考えました。本人には厚木の自主トレ中に直接伝えて、一からキャンプに臨んで、本人が必死に取り組んだ結果、五輪メンバーにも選ばれ金メダルを獲得しました。

五輪期間中、エキシビションマッチがありました。この時期に1カ月もシーズンを中断するのは初めて。若い選手を見たり、試したりできました。調整期間と捉えるのではなく、もう1度ファームも含めてフラットな目線で、サバイバルの機会と考えました。全員が登録抹消となり、選手の高い競争意識を感じた良い期間でした。

後半戦は、ドーム球場での試合が12試合続きました。五輪の影響で東京ドームを使わせてもらい、天候に左右されることなく試合が行えたことはよかったです。5勝5敗2分けでしたが、選手たちはうまくコンディションを整えて試合に臨んでくれていました。

ここに来て、チームの「輪」に、牧や森が新しい風を吹き込んでくれています。牧は新人ではプロ野球史上初のサイクルヒットに、球団の新人では初めて、3者連続ホームランに絡みました。他にも次々と新人記録に名を刻んでいますが、驚きはプロとしていいスタートを切った春先の方がありました。マークがきつくなる中でもしっかりと結果を出し続けてくれています。打撃や守備はもちろん、ベンチでの振る舞いも目立ちます。凡打して打ち取られた悔しさがあるのに、ベンチに帰ってきてすぐ次の打者を応援しています。なかなかできることではないです。

敬斗は親子ぐらい年齢が離れている。課題はまだまだあるが、今はがむしゃらに取り組み、日々成長している。打席でワクワクさせてくれる選手の1人です。去年もファームで一緒でしたが、1軍の打席でも、より強くそれを感じさせてくれています。

2人は大卒1年目と高卒2年目で、この先非常に楽しみな選手。このまま順風満帆ではいかないし、壁にぶつかることもあると思います。しかし、ぶつかるたびにその壁を乗り越え大きく成長してくれるでしょう。チームに若い力は必要。牧と森だけじゃないですが、チームにいい刺激、いい風を吹かせてくれています。(DeNA監督)

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