DeNAがセの投手2冠(防御率、奪三振)に君臨する難敵、中日柳裕也投手を6回で降板させた。奪った得点は、6回に宮崎敏郎内野手の適時二塁打で挙げた1点だけ。だが、114球を投げさせていた。7回から登板した救援の田島、福を打って2得点。勝ち越しに成功した。

ヒットを積み重ねるだけが、先発投手を降板に追い込む方法ではない。3回までに59球。8三振を奪われ、4安打しか打てなくても、4四球を選び、6回で114球を投げさせた。ファウルで粘ったわけではない。柳に対した打者のべ26人でファウルは17球にすぎない。三浦大輔監督は「粘らせて球数を投げさせてというより、積極的にいこうという話はしていました」と明かした。

打ちにいく中で、低めの変化球を見極めた。柳の変化球はカットボール、スライダー、カーブとチェンジアップ。チェンジアップ以外は、同系統の球種となる。三浦監督は「甘い球は少なかった。その中でボール球を振らなかった。ヒットは少なかったけど、カウントをもってこれたのも1つの勝因だと思います」と話した。柳と対戦した打者26人のうち、のべ14人が2ボール以上のカウントに持ち込んだ。1、3、6回と20球以上を投げさせたイニングが3度あった。いつも積極打法の1番桑原将志が、3打席で18球を投げさせていた。

前日に対戦した昨年の沢村賞投手、大野雄大には、同じ6回までに90球しか投げさせていなかった。そのため7回まで105球で投げられてしまい、8回から又吉克樹-R・マルティネスと勝ちパターンに直接つながれた。その結果、57試合ぶりの完封負け。2日連続で相手先発はリーグ屈指の好投手だったが、同じ轍(てつ)は踏まずに、逆転勝ちへとつなげた。

自力CS消滅危機を乗り越えた三浦監督は「また明日頑張るだけ。目の前の1試合を全力で戦うだけ。まだ借金があるので、借金をなくさないと」と見据えた。【斎藤直樹】