ファームの連勝記録を更新中の阪神は広島に逆転勝利し、18連勝とした。

平田勝男2軍監督(62)は「選手たちには頭が下がる」とたたえた。2軍調整中の佐藤輝明内野手(22)は4打数無安打だった。平田監督は「4番右翼」で使い続けるとした上で、「佐藤輝が(2軍に)落ちてくる時に矢野監督と話はした。特守や特打で、体力も含めて強化させる。とにかく振らせて、守備ももっともっとうまくさせる」と復活への青写真を描いた。

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用意された「十」と「八」の色紙を手にすると、平田2軍監督の笑みがはじけた。7月30日から白星を重ね、いよいよ18連勝となった。比較はできないが、54年南海、60年大毎のプロ野球記録と同じ数字だ。「ほんとにね、選手には頭が下がるな」。指揮官は“日本タイ記録”をかみしめ、自ら本題に切り出した。

平田監督 佐藤輝やろ? 昨日ヒット打って、そうは(うまく)いかん。ファームでゲームに出るだけじゃなくて、守備も打つ方も。朝からの特守や特打で、体力も含めて強化ということは、矢野監督や井上ヘッドとしっかり話ができているんで。

言葉通り、悩めるルーキーにとっては試合だけが仕事ではない。朝から夕方まで野球漬けの秋だ。この日は試合開始の4時間以上前に甲子園のグラウンドに姿を現し、特守を受けた。清水コーチと外野の背走に重きを置き、反復。目まぐるしく過ぎていったであろう1軍戦線から離れ、攻守にもう1度基礎から見直せる機会。前日11日の試合後には約40分の特打を行うなど技術、体力ともに1段階上を目指している。

平田監督 とにかく振らせて体力をつける。守備ももっともっとうまくさせるというところが目的なんで。

2軍降格後、ウエスタン・リーグ2試合目も「4番右翼」で出場し、中村祐には中飛、空振り三振、中飛。3番手一岡には直球に差し込まれ、中飛に倒れた。1軍経験のある投手に凡退したが、今は目先の結果にとらわれる必要はない。

何より、1軍を目指しハングリーに連勝を継続させる仲間の存在が大きい。逆転の2点適時三塁打を放った同期の栄枝は言う。「テルがいるおかげで自分も頑張らないと、という気持ちになる。テルがいるうちに吸収できるものを吸収したい。同学年ですし、彼の気持ちのよりどころになれれば」。

14日からはゲーム差なしの2位につけるソフトバンクと今季最後の3連戦。1軍より一足早く、甲子園でV争いの正念場を迎える。平田監督は今後も佐藤輝を「4番右翼」で起用すると明言。首脳陣、仲間のサポートを受け、背番号8が泥まみれになりながら復活ロードを歩む。【中野椋】