広島鈴木誠也外野手(27)が、9月10本目となる29号ソロを放った。3点を追う8回1死の第4打席で、バックスクリーン左まで豪快にかっ飛ばした。3試合ぶりの1発で、12発打った18年8月以来、自身2度目となる月間10発をマーク。同年に記録した自己最多30本塁打まで、あと1本に迫った。だが、主砲の1発は空砲に。チームは9連戦の初戦を落とし、借金は15に膨らんだ。

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鈴木誠が意地をみせた。3点の勝ち越しを許した直後の8回、1死走者なしからの第4打席。カウント1-1からの3球目、DeNAエスコバーの真ん中147キロを強振した。打球は大きな弧を描き、バックスクリーン左へ吸い込まれた。強風が左翼から右翼方向に流れていた中での1発に「(感触は)まあまあです。風じゃないですかね」とコメント。3試合ぶりの1発も勝利につながらなかっただけに、笑顔はなかった。

この1発で9月だけで早くも10本目に到達した。今月は球団最長記録に並ぶ6試合連発を放つなど、量産態勢に入っていた。連続記録は止まったものの、勢いは止まらない。月間10本塁打は、12発打った18年8月以来、自身2度目。同年に記録した自己最多の30号にあと1本。キャリアハイが目前に迫っている。

9月の月間打率は3割9分6厘をマークしているが、決して満足することはない。この日の試合前練習のフリー打撃では、左足を上げた際に軸足の近くで1度地面につけ、その後前に踏み出す「すり足打法」に近い形で実施。「いろいろ、微調整って感じです」と試合でも実践し、4回1死からの第2打席でも中堅フェンス直撃の二塁打をマーク。新たに取り組んだフォームで、いきなり長打2本と結果を残した。

だが、主砲の反撃の1発が出ても波に乗れず、9連戦の初戦を落としてしまった。佐々岡監督は「『ランナーをためて、誠也』という形がなかなかできなかった」と肩を落とした。19日からは敵地神宮に場所を移し、上位のヤクルトとの2連戦を迎える。鈴木誠は「最後まで諦めずに頑張ります」と強い決意を胸に秘め、球場を後にした。【古財稜明】

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