<ヤクルト5ー1広島>◇19日◇神宮

ヤクルト村上宗隆内野手(21)が歴史に名を刻んだ。広島18回戦(神宮)の初回に右翼席へ今季35号ソロを放ち、通算100本塁打を達成した。21歳7カ月での到達は、89年西武清原和博の21歳9カ月を抜き、プロ野球史上最年少記録を更新。希代の若き4番が、逆転優勝へチームを加速させるメモリアルアーチを本拠地で描いた。

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負けん気も、100本の土台だった。村上は3人兄弟の次男。同じく野球をやっていた2歳上の兄・友幸さん(現テイ・エステック投手)の背中を追いかけながら、「負けず嫌い」が育まれていった。中学1年の熊本東シニア時代。兄が投げる試合で、村上が二塁守備でエラーした。「お兄ちゃんごめん」と謝るも、兄に怒られ、目に涙を浮かべて悔しがった。たとえ年上でも、グラウンドでは絶対に負けたくない。マウンドで懸命に投げる兄へ申し訳なさとともに、対抗心もあったのかもしれない。吉本監督は「次男特有の負けず嫌いなところがあって。あのころから絶対人には負けないというのを持っていたみたい」と振り返る。プロになった今も、打席で、ベンチで悔しさをあらわにする姿がある。「悔しか。負けん」の精神で、これからもアーチを重ねていくはずだ。【湯本勝大】