日本ハム斎藤佑樹投手(33)が1日、今季限りでの現役引退を発表した。 球団を通じて「今シーズン限りでの引退を決断致しました。ご期待に沿うような成績を残すことができませんでしたが、最後まで応援してくださったファンの方々、本当にありがとうございました。約11年間、北海道日本ハムファイターズで最高の仲間とプレーすることができて幸せでした」とコメントした。

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「群馬県 斎藤投手様」。フルネームも住所もない、こんなファンレターが実家に届いたことがある。

甲子園で「ハンカチ王子」となった斎藤が早大に進学し、東京6大学野球は沸いた。1年春から開幕投手を務め、07年春の総入場者数は前年の倍近い37万8500人。時にはプロ野球ナイターの観衆を上回った。

東京・東伏見のグラウンドには警備員が常駐し、練習する姿を一目見ようとマダムたちも集結…。

そんなアイドル的な存在は、大学4年間1度も離脱することなく、ドラフト1位の投手であり続けた。

節目で問われたのは「なぜ高校からプロにいかなかったのか」。そんな質問には「遠回りだとは思ってません。大学に来たことで、プロに行ったら出会うことのできなかった人に会えた」と繰り返した。

身長176センチの右投手。恵まれた身体的アドバンテージがないことは自覚している。高校時代も下級生の頃から注目された田中将大とは違う。考え、試行錯誤し、技術を磨いた。早大同期で、ともにドラフト1位で入団した大石(元西武)、福井(現楽天)には「自分が挑戦者だと思い出させてくれる存在」と言った。そんな出会いの繰り返しが、4年時に流行語大賞特別賞を受賞した「持ってるのは仲間です」につながった。

20歳のインタビューでは「50歳まで現役を続けたい」と夢を語っていた。近年の苦しいリハビリも、多くの人との縁があって続けてこられたのだろう。引退発表のコメントにある「最高の仲間」。プロ野球選手からは聞き慣れないフレーズに、斎藤らしさがにじんでいた。【07~10年アマチュア野球担当・前田祐輔】