マウンドから教壇へ-。宮教大の神戸陽知(ひろと)投手(4年=仙台三)が東北福祉大戦で大学ラスト登板となった。0-8の5回1死一、三塁から救援。大学4年間で培った緩急を武器に、1回2/3を無安打無失点の好投を披露。チームはコールド負けも、有終の美を飾った。今後は本格的な教育実習がスタート。野球に一区切りをつけ、教師への道を突き進む。

悔いなく、懸命に右腕を振った。大量リードされた5回1死一、三塁。3番手で神戸がマウンドに立った。「最後の試合になるので、悔いのないようにしようと思った」。先頭に左犠飛を許すも、最少失点で踏みとどまった。1回2/3を投げノーヒット投球。7季連続リーグ優勝を狙う東北福祉大打線に、臆することなく向かっていった。「気持ちで投げきることができた。後悔はないです」。投じた全30球に思いを込め、完全燃焼でやり切った。

4年間の集大成を発揮し、6回コールド負けの危機を乗り越えた。0-9の6回1死二塁。2者連続申告敬遠で満塁策を選択するも、次打者にカウント3-0。後がない状況にも、神戸には楽しむ余裕があった。「しびれました(笑い)」。ファウルで追い込み、最後は103キロのスライダーで見逃し三振。最後は二ゴロに斬った。最速120キロ台直球も、80キロ台のスローカーブ、チェンジアップ、カットボールと多彩な変化球を織り交ぜる。こだわるのは緩急だ。神戸は言う。「球が速くない。自分が抑えていくためには、遅い球をいかに速く見せられるか。抑えるパターンを工夫してやってきた。その成果は出せたと思う」と大学4年間で磨き上げた投球術に胸を張った。

大きな夢を描く。母校の仙台三は今夏の宮城大会で準優勝を飾った。高校教師志望の神戸は「監督として、母校を甲子園出場に導きたい」。新たな抱負を語り、大学野球に別れを告げた。【佐藤究】