和歌山大が断水のハンディキャップをものともせず快勝した。

最速144キロ右腕で、先発の直江奏乙投手(4年=神戸鈴蘭台)が序盤から快投して、凡打の山を築き、大学初完封勝利を挙げた。わずか2安打で4奪三振。最後まで投げ抜き「最近のなかで一番、よかった。(予定は)3イニングと聞いていた。4イニングからプラスアルファでおまけです。1イニングずつ全力で抑えていけば、あとはなんとかしてくれます。体力を考えず、思い切り投げました」と話した。

実はチームはアクシデントに見舞われていた。3日に和歌山市内の水管橋が崩落し、選手らの生活エリアが断水になった。「僕の家も断水しました」と直江は言う。3日は南港中央で奈良学園大に敗戦後、帰宅時は水が出なかったという。「後輩の家でシャワーが出るところがあった。ご飯も炊けない。スーパーでご飯を買ったり、バタバタしましたね」と苦笑いした。

この日は直江の踏ん張りで勝った。継投策のゲームプランを描いていた大原弘監督(56)は「経験が、いままでは四球を出して、崩れるのが下級生の頃。瀬古と並んでエースと言ってもいいかな」と最敬礼だ。断水にはチーム全体が見舞われた。指揮官は「洗濯とかも大変だったみたい。『野球で負けるよりもライフラインが途絶える方が大変やろ』と言いました」。緊急のトラブルにもくじけず、しぶい白星を挙げた。

この日、神戸大が阪南大に逆転サヨナラ勝ちしたため、5日の奈良学園大戦で勝てば秋季リーグ優勝が決まり、春秋連覇を果たす。負ければ神戸大の逆転優勝になり、運命の一戦になる。