不屈の男が、ユニホームに別れを告げる。巨人大竹寛投手(38)が今季限りで現役を引退することが21日、分かった。今季は開幕1軍もシーズン途中に膝痛を発症。完治には手術も視野に入るほどの重症だったが、戦列復帰を目指し、懸命にリハビリ。わずかな可能性にかけ、試行錯誤したが、引退を決めた。

3年前の18年オフ、1度は戦力外を覚悟した。球団から提示されたのは50%ダウンでの契約。「いつ、壊れてもいいと。1年、1年、覚悟を持って投げる」と心に決めた。プライドは捨て、19年は中継ぎに転向。リーグ優勝に貢献し、プレミア12の日本代表にも選出され、復活を遂げた。

「寛ちゃん」と愛され、先輩、後輩問わず、周囲には人が集まった。高卒で入団した広島では先発で4度の2ケタ勝利を挙げ、守護神も経験。技術、投球論は奥深く、エース菅野らも一目置く存在だった。かつては「体が動く限り、クラブチームでもプレーする」と話した野球小僧は限界まで挑戦し、決断を下した。

◆大竹寛(おおたけ・かん)1983年(昭58)5月21日、埼玉県生まれ。浦和学院2年夏に甲子園出場も登板なし。01年ドラフト1巡目で広島入団。13年オフにFAで巨人入り。14年に12球団勝利を達成。通算375試合で102勝101敗、防御率3・77。19年プレミア12日本代表。184センチ、96キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸4500万円。