矢野監督が執念の采配を見せた。

1点を追う2回2死一、三塁。先発青柳の打席で動いた。リーグトップの13勝を挙げている右腕に「代打小野寺」を告げた。青柳の2回での降板は先発ではプロ入り最短。最多勝を当確させるマウンドだったが、攻めのタクトだった。

指揮官は試合前に「全員で戦うというところもそうだし、走り切るとか、一丸で戦うとか、何かそういうものを見せたい」と話しており、その言葉通りの全員野球だった。しかし小野寺は中日先発小笠原の内角直球に詰まり、遊飛に倒れた。勝負手は実らなかった。

3回からは及川が中継ぎ登板。2回を無失点に抑えたが、3イニング目に崩れた。振り逃げ、四球と安打などで1死一、二塁で降板。3番手馬場にスイッチしたが、踏ん張れなかった。2死満塁で、大島を迎えた。フルカウントから甲子園のスタンドから激励の拍手が沸き起こった。しかし2度首を振ってまで選択したフォークが真ん中に入り、左前にはじき返された。大きな2点を失い、3点を追う苦しい展開となった。

野手陣も攻撃にリズムをつくれなかった。両軍無得点の2回1死一、二塁では青柳が木下拓を内角球で三ゴロを打たせた。大山が二塁へ送球したが、二塁糸原が一塁に悪送球。まさかのタイムリーエラーで先制点を献上。ここ6試合は失策がなく、4勝2分けと引き締まった試合を演出していたが、7試合ぶり86個目の失策で守備からもり立てることができなかった。16年ぶりのリーグ制覇へ、負けられない一戦で、課題の拙守が出てしまった。【前山慎治】

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▽阪神井上ヘッドコーチ(2位でシーズンを終え) セパ全球団の中で一番勝っていたということは誇りに持ってほしい。今日はみんな負けて沈んでいるけど、切り替えて。こちらからはやる気と元気と笑顔を交えた今年のテーマの野球を、また、クライマックスシリーズに向かって促したい。

▼阪神がレギュラーシーズン最終戦に敗れた結果優勝を逃したのは、73年以来48年ぶり。同年10月22日に、2位巨人と甲子園で対戦。阪神は○か△なら優勝だったが、0-9と大敗して巨人のV9を許した。