ソフトバンク担当記者として、18年シーズンから4年目。今年の工藤公康監督(58)には変化を感じる部分があった。小久保ヘッドコーチが加入したこともあり、春季キャンプから「野手のことはヘッドに任せています」とことあるごとに口にした。練習メニューや実戦での起用なども、野手部門は一任していた。

野手だけではなく、これまでは積極的に直接指導するなど力を注いできた投手陣に関しても変わった。試合がない日、先発投手だけが集まる投手練習に今年は1度も姿を現さなかった。昨年まではほぼ毎週、休みも取らずに顔を出していた。見守るだけではなく、助言を送ったり身ぶり手ぶりを交えたり、自らの手で投手をいい方向に進ませようと、手を尽くしているように見えた。

チームが苦戦し、Bクラスに低迷することを想像していたわけではないと思うが、いつか退任する日を思い「工藤監督のいないソフトバンク」が円滑に回るよう、あえて1歩退いたところからチームを見守ろうとしていたように感じる。

工藤監督がタフで、情熱が強かったからこそ、昨年まではオールラウンドに目を配ってきた。だが組織としては、トップがいなくなったと同時に何もできなくなるという、ゆがんだ形になりかけていたのかもしれない。正しい組織として各部門がそれぞれの意志で動けるよう、未来への準備を進めたシーズンだったと思っている。【ソフトバンク担当=山本大地】