オリックスが1996年(平8)以来、25年ぶりにパ・リーグの頂点に立った。25日にエース山本が楽天を完封してシーズン最終戦を終え、27日はライバルの2位ロッテの楽天との試合結果を京セラドーム大阪で待った。もう1敗もできない状況にいたロッテが楽天に敗れ、優勝が決まった。

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選手会長の吉田正尚外野手(28)は傷だらけで悲願のVを喜んだ。

9月上旬に全力疾走で左太もも裏を負傷して離脱。18年から3年間続けた全試合出場が止まった。

主砲の離脱に沈むナイン…。そんな仲間に、吉田正は“サプライズ”を敢行した。「こっそり荷物を取りに来たときですね」。京セラドーム大阪のロッカールームにある、ホワイトボードに思いを書き込んだ。「みんなを和ませようと。そのときは誰もいなかったんで」。白板に黒のペンで「少々、お待ちください34」と、直筆メッセージに背番号を添えて立ち去った。

9月26日のホーム楽天戦で1軍復帰。代打出場し、鳴りやまぬ拍手を浴びた。「ファンの方が期待してくださっている証拠」。復帰後、チームは5勝1分けで首位を奪回。Vロードを突っ走ると思われた矢先、再び悪夢に襲われた。

10月2日ソフトバンク戦の死球で右尺骨を骨折してリハビリ中。この日は「いろいろな感情がありましたがチームが勝つというのがいいリハビリになった。毎日やれることを精いっぱいやって11月10日に何とか戻れれば」と言った。CSからの復帰を目指し、回復に努める。2年連続首位打者は確定的だが、もっと手にしたいものがある。日本一の頂を-。優勝記念日に新たな誓いを立てた。【真柴健】