オリックスが1996年(平8)以来、25年ぶりにパ・リーグ優勝を決めた。この日、2位ロッテが楽天に敗れて決定。京セラドーム大阪で待機していた中嶋聡監督(52)をはじめ、ナインが喜びを爆発させた。

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胴上げされたオリックス山本由伸投手(23)は爽やかに笑っていた。「怖かったです! かなり浮いた。みんなのパワーがすごかった」。宙に舞う背番号18をナインが支えた。

25日の今季最終楽天戦で、Vをたぐり寄せる球団新記録の個人15連勝&今季18勝目を完封で飾った。プロ5年目で一度も故障なく初のシーズン完走。最多勝、最優秀防御率、最高勝率、最多奪三振と4つの投手タイトルを総なめにするなど、沢村賞候補の活躍でチームの快進撃を引っ張った。

今季は初の開幕投手を務め「絶対に勝ちたい」と意気込んだが、味方の失策も重なりチームは10年連続で開幕戦黒星。自身も3勝5敗と乗り切れなかった。だが5月28日ヤクルト戦から、17戦15勝の無双状態。「やり切った。あとは待つだけ」とVの瞬間を願った。

飛躍のきっかけは東京五輪だった。「(五輪は)バンジージャンプを飛ぶ緊張感と似たものがありました」。ドミニカ共和国戦で開幕投手を務めるなど、極限状態でつかんだ金メダルが、大きな手応えになった。

中嶋監督も「あの防御率なんでね。崩れませんよ」たたえた大車輪。山本は一息つくように「パラセーリングに挑戦してみたい! 船に引っ張られて、高くまで上がってみたい」とオフにも胸を弾ませる。

もちろんその前にポストシーズンが待っている。「まだまだここからが勝負ですよ!」。目指すは連勝神話継続でのCS突破&日本一。「責任を持って戦い抜きます」。さらなる絶景を目指す。【真柴健】