BIGBOSSならぬBIGマウスで目標を現実にする。日本ハム五十幡亮汰外野手(23)が23日、母校の佐野日大(栃木)を訪問。プロ1年目を終えた報告とともに、来季はシーズン80盗塁を目指すことを宣言した。新庄監督も4番候補として期待する“神俊足”は、具体的な数字を口に出すことで自らを鼓舞。圧倒的な数字を残して、楽天へ移籍が決まった西川にも走り勝ち、初の盗塁王獲得という2年目の青写真を描いた。

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プロ入りを報告して以来1年ぶりに訪れた母校で、五十幡は力強く言った。来季の目標盗塁数を問われ、最初は「70」と答えたが、すぐに上方修正。「やっぱり目標なので70以上…80を目指したい」。シーズン80盗塁を達成すれば、79年島田誠(55盗塁)を抜いて球団記録。長いプロ野球の歴史でも過去に2人(72~74年阪急福本、56年阪急河野)だけ。目標達成へのハードルは、あえて高く設けた。

理由がある。

五十幡 曖昧に「盗塁いっぱいできたらいいな」より、しっかり数字を目標に立てた方が、何をやらなきゃいけないかが見えてくると思う。60盗塁が基準。80を目指してやった結果、60が通過点になれば。

具体的なイメージを持って突き進むのが、五十幡の野球道。思うように結果を残せなかった高校時代も、そうだった。「高校3年の時、プロに行くのは厳しいなと。だったら大学に行って、入れ替え戦とか厳しい戦いがあるところで自分を鍛え直してからプロへ挑戦できたら」と、青写真を描いて実現させた。そんな5年前の決断を思い出しながら、来季へかける思いを大きな数字に込めた。

成長を見せて走り勝ちたい人もいる。「遥輝さんには負けないように頑張りたい」。楽天へ移籍が決まった西川だ。通算4度の盗塁王から、技術や心得を見たり聞いたりして学んだ。「どのカウントからスタートを切るかや、スタートの切り方だったり。すごく勉強になりました」。同一リーグでしのぎを削るが、盗塁王のタイトルは「譲れないです」と、言葉に力がこもった。

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今季は27試合出場で9盗塁と、ポテンシャルの一端を披露。今オフは各関節の可動域を広げるトレーニングにも着手。「足の動きがすごく良くなった感じはするので、タイムを取る機会があったら楽しみ」と、走力アップにも手応えを感じている。「どんどんチャレンジしたい」と、レギュラー奪取から記録的な初タイトル獲得で、来年は母校へ凱旋(がいせん)する。【木下大輔】