DeNA佐野恵太外野手(27)が、22年も主将を務める。秋季トレーニング中に三浦大輔監督(48)から「主将が重荷になっていないか」と問われた。「主将をやって2シーズン、チームはいい成績ではなかったので『もう1回主将をやらせていただけるならやりたいです』と伝えました」。過去2年は4位→6位。「本当に優勝したい、勝ちたい、そのチームの主将でありたい。そのチャンスがもらえるなら挑戦したい」と。3年目の続投を志願した理由を説明した。

キャプテン就任前とは、立ち位置が大きく変わった。就任前年の19年は89試合で200打数59安打と、スタメン45試合、途中出場44試合という選手だった。筒香嘉智が米大リーグに移籍し、4番と主将を受け継いだ。20年は首位打者を獲得し、21年は全試合出場でオールスターに初出場し、年俸1億円にも到達した。「この2年間は試合に出してもらえるようになった。個人的な成績でいえば首位打者を取れて、今年は全試合にも出られて、ですが4位と6位。1度もAクラスに入ったことがない。自分の成績だけじゃないと、そう思えるようになったのは主将という役職に置いてもらってから悔しさを晴らしたい。悔しいままでは終われないと」。チーム成績への思いが、段違いに膨らんだ。

今季はチームが最下位に沈んだが、刺激策は講じていた。開幕戦ではチーム全員の手の甲に「一」と青マジックで書き入れた。チームスローガン「横浜一心」の「一」だった。借金が2桁に到達すると、山崎康晃投手や三上朋也投手と相談し、モチベーションアップビデオを作成。何とかチーム全体で浮上のきっかけをつかもうと、もがいた。三浦監督は「チームがどういう状況にあっても、自分の状態が悪くても下向くことなくベンチで鼓舞していた。裏でも本当に明るく選手を和ますキャプテンシーを発揮していた」と評価した。

佐野がいろいろな刺激策を講じたのは、前年の反省があったからだ。首位巨人に5・5差の2位で迎えた20年9月1日からの東京ドーム3連戦。中継ぎパットンを先発させる奇策も実らず3連敗を喫した中で「キャプテンとしてチームにアクションを起こせなかったことが、すごく後悔しています」。苦しい時に明るくチームを鼓舞することができなかった。「3連敗して優勝が厳しい状況になった。強いチームのキャプテン、長年キャプテンをやってる人だったら、こういう時にやってたんだろうなって思った。後悔が大きいです」。20年の契約更改では反省を口にしていた。

行動しなかった後悔があった主将1年目。行動してもチームの結果に結びつかなかった主将2年目。3年目こそ、行動して優勝に結び付ける。【斎藤直樹】