まるで弾丸! 阪神ドラフト1位森木大智投手(18=高知)が17日、鳴尾浜球場での新人合同自主トレでプロで初めてブルペン入りした。捕手を立たせたまま20球を投げた。高卒新人が1月中旬にブルペン入りするのは異例で、さらにその抜群の球威で2軍首脳陣の度肝を抜いた。阪神・淡路大震災から27年の日に、右腕が順調に歩みを進めた。

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乾いたミット音が鳴尾浜球場のブルペンに響いた。午前11時5分。気温10度を下回る寒空の下、最速154キロが熱く腕を振った。同期入団の中川を立たせ、ミットに突き刺すように20球。時折カーブを交え、マウンドの感触を確かめた。

森木 ばらつきはあったんですけど、それなりに良かったんじゃないかなと。硬いマウンドに慣れるっていうのが一番の課題。ブルペンに入ったらフォームどうこうよりも、ボールの質とか自分の感覚を大事にしています。

藤浪が新人合同自主トレ初日にブルペン入りした“例外”はあるものの、阪神の高卒新人は近年は2月のキャンプ以降に入りする傾向にあり、19年ドラフト組の西純、及川もキャンプでだった。それを1月中盤に解禁し「今まで順調に来てますし、試しに入ってみようかなと」と明かした。

ベールを脱いだ右腕の剛球に心を打ち抜かれたのは、視察した平田2軍監督と新任の江草2軍投手コーチ。「体は(阪神の)秋山をほうふつとさせる。コントロールがどうとか不安は一切感じさせない。一級品だよ」と指揮官がうなれば、江草コーチも「(球が)ピストルみたい。ピュワーン! みたいな」と直球の伸びと威力を絶賛した。

この日は阪神・淡路大震災から27年で、練習前に黙とうした。森木自身は高知・土佐市で育ったが、被災した兵庫県をホームとする球団の一員としての自覚は芽生えている。

森木 多くの方がつらい思いをしたと思う。自分たちが明るい未来をつくっていけるように野球を通して貢献できればと思います。

高知中時代には、東日本大震災で被災した東北を訪れたこともある右腕。マウンドから勇気、元気を届けるため、着実にステップを踏んでいく。【中野椋】

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◆阪神近年の高卒新人初ブルペン 12年ドラフト1位の藤浪が、13年の新人合同自主トレ初日の1月10日にブルペン入り。「傾斜を使って投げたい」と事前に担当スカウトに相談し、首脳陣に承諾された。通常、新人合同自主トレでは体力強化に時間を割き、高卒新人のブルペン入りは2月以降となることが多い。藤浪後に高卒投手は望月、才木、浜地、牧、川原、西純、及川の7人がおり、うち牧だけは18年1月27日にブルペンデビュー。森木の1月17日は異例の早さといえる。