脳力アップで進化!? 阪神糸原健斗内野手(29)が20日、甲子園に隣接する室内練習場で自主トレを公開した。「1年間戦う体作り」に重点を置き、動きの再現性を高めるため「脳」を鍛えていると明かした。頭をフル回転させ、未到達の「打率3割、出塁率4割」の壁をプロ6年目で乗り越える。

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“司令塔”の指示を受けた糸原の肉体が、練習場を縦横無尽に駆け回った。ウオーミングアップを終えると、キャッチボールで右腕を何度も振り、ボールは相手の胸へ。バットを手にすると、体全体を使って白球を痛烈にたたいた。約4時間、「脳」の指示通りに体を動かした。

「(体の動きは)脳から体に伝わる。脳をトレーニングしつつ、体をうまくコントロールして、うまく使えるようにすることをテーマに置いてます」

進化するためオフは「脳力」を磨いている。攻守にわたり「最高のパフォーマンス」の再現性を求め、頭に理想の動きをたたき込んでいる。「体だけで覚えても脳と全然違う動きになる。反復で脳にも覚えさせて、『こうやったらこういう動きをできる』って考えながら、『今のは1歩目切りやすいな』とかを脳に覚えさせてるって感じです」と説明した。

「脳力アップ」は今季のチームスローガン「イチにカケル!」にも直結する。「1歩目、1球目、1球に対する思いとかが、タイガースのテーマなので」。守備範囲を広げるには瞬時の判断による1歩目が重要。打順で希望する「2番」ではつなぎの進塁打、時には長打が求められる。イメージと動きを合致させるため、例年の重い重量によるウエートトレーニングに加え、瞬発系のトレーニングにも挑戦中だ。

若手の突き上げにも燃えている。昨季は二塁で113試合に先発し、2年ぶりの規定打席到達で打率2割8分6厘。ただレギュラーを確約されているわけではない。小幡ら若手が頭角を現し、木浪、北條らもいる。「若手の勢いがすごいので、それに押しつぶされないように。競争に勝ったやつが1人出られる。負けないように頑張ります」。七転び八起きで勝ち取ってきた二塁の座は誰にも渡さない。

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「勝負の年」と位置づける6年目に向け「打率3割、出塁率4割」と目標を掲げた。ともにまだ踏み入れていない領域。「そのためにどうすればいいか考えてやっているので。結果で、数字で現れるように頑張ります」。五感フル稼働で脳を活性化させ、糸原の野球を貫く。【古財稜明】

◆脳の各機能◆

▼構造 大脳、小脳、脳幹に大別される。

▼前頭葉は大脳にあり、人間の運動、言語、感情をつかさどる。

▼海馬 記憶を管理。インプットされた情報を整理し、大脳皮質にためる。

▼小脳 運動の調節機能を担当。

▼脳幹 呼吸、消化など生命維持に重要な存在。

▼脳下垂体 成長ホルモンや性ホルモンなどを分泌する。

▼視床下部 体温、食欲、睡眠などの調整を行う。