阪神、ロッテで活躍した今岡真訪氏(47)が25日、日刊スポーツ評論家に就任し、古巣阪神にエールを送った。同氏は昨季、ロッテでヘッドコーチを務め、終盤まで優勝争いしたがオリックスに競り負けた。阪神で現役時の03年に首位打者、05年に打点王に輝き、2度の優勝。自身の経験から首脳陣のマネジメントの重要性、主力の存在感など「優勝の条件」を説いた。

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7年ぶりに日刊スポーツの評論家に復帰した今岡氏は古巣タイガースへの愛着にあふれていた。昨季は終盤に失速してV逸。今年もハイレベルな陣容でリベンジを期す。「優勝しかないですよね。昨年も優勝争いをしていますし、あと1歩でした。戦力はあると思いますね」。4年目を迎えた矢野阪神に期待した。

昨年までの4年間はロッテで指導者として情熱を注いだ。昨季はヘッドコーチとして優勝を目指したが、2・5ゲーム差で惜しくも2位。勝負の厳しさを突きつけられた。試合はめまぐるしく動く。ベンチがいかに勝負手を打てるか。「迷ってしまうと、裏目に出てしまうものです」。悔しさをにじませ、振り返った。

現役16年、指導者7年の経験から「優勝の条件」を追究する。「主力が打たないから勝てないではありません。主力が打たなくてもベンチのマネジメントで勝てると思います」と言う。モノサシになるのが、阪神の主力で貢献した2度の優勝だ。「星野監督は、とてもシビアでした。勝っていても6回で(遊撃の)藤本に久慈さんを入れ(二塁の)私のところに田中秀太を守備固めで使いました。スキを見せない。妥協しません。二遊間のレギュラーに守備固めを出しても勝てるということです」。戦いに徹する闘将のタクトで、03年は18年ぶりのリーグ優勝を果たした。

戦力が充実していた05年は、岡田監督が指揮を執った。今岡氏は「できあがっているチーム。みんなが調子がいい、まれなシーズンでしたが、岡田監督はあえて動きませんでした。トリ(鳥谷)も使い続けていました」と振り返る。40本塁打の金本、147打点の今岡、60盗塁の赤星…。鳥谷は主力として、通算2099安打の地歩を築く1年になった。先発オーダーはわずか38通りだった。腰を据えた用兵で頂点に導いた。

長丁場のシーズンは打線に軸が欠かせない。今岡氏は実感を込めて言う。「調子が良くても悪くても使い続ける選手は2、3人は必要だと思います。主力にとって調子が悪いときに試合に出続けるのは、一番しんどいことです。それでも、普段と同じ振る舞いで試合に出続けることは、チームに安心感を与えるし、他の選手も発奮して頑張るものです。それが主力だと思います」。主力のチーム全体への影響は計り知れない。

今岡氏は16、17年に金本阪神で入閣し、2軍コーチを務めた。その後はロッテで指導し、古巣の後輩をじっくりとチェックするのは17年以来になる。「これから、見ていきたいと思います」。阪神でレギュラーが確約されている野手は近本だけだ。主砲の大山も、昨季新人球団最多の24本塁打を放った佐藤輝も、定位置を争う立場になる。主力の台頭を期待しつつ、タテジマの戦いぶりに密着する。【酒井俊作】

◆今岡真訪(いまおか・まこと)1974年(昭49)9月11日、兵庫県生まれ。PL学園から東洋大をへて、96年に阪神を逆指名してドラフト1位で入団。03年に首位打者、05年にはミスタータイガースの藤村富美男氏を超えるシーズン147打点(プロ野球歴代3位)を記録して打点王に輝き、ともに優勝に導いた。ベストナイン3回、ゴールデングラブ賞1回。09年10月に戦力外通告を受け、10年にロッテにテスト入団。シーズン3位から日本一に輝いた。12年は2軍兼任コーチで指導を開始し、10月に現役引退した。13年から日刊スポーツ評論家として、3年間、健筆を振るった。16年から阪神の2軍打撃兼野手総合コーチとして2年間在籍。17年に登録名を「誠」から「真訪」に変更した。18年からロッテ2軍監督に就任し、3年間、若手を指導した。21年はヘッドコーチに就き、11月に退団した。185センチ、83キロ。右投げ右打ち。