西武のドラフト1位左腕が開幕ローテ入りを当確させた。隅田知一郎投手(22=西日本工大)が先発し、広島打線を5回2安打無失点。最速149キロ直球で強気に押しながら、要所で変化球を振らせた。使用できないと指摘を受けていた2色グラブに替え、新調したブルー系1色のグラブが映えた。同2位佐藤隼輔投手(22=筑波大)も4回1失点と好投。ルーキー左腕コンビの存在感が増している。

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売り出し中の4番が相手でも、いや、4番だからこそ、隅田は試合前から決めていた意志を貫いた。

「直球で押していく」

初回2死一塁。広島末包に対し、直球を続けた。初球だけボールに外れたが、そこからファウル3つで前に飛ばさせない。4球目、自己最速タイに1キロと迫る149キロで圧をかける。5球目、低めに落ちる122キロチェンジアップで空を切らせた。

「ストレート主体で右左関係なく、攻められたのは良かったです。真っすぐで押し込んでいって、(打者の)頭にない変化球を投げられたら」。狙い通りに仕留め、軽やかにベンチへ。2回以降も危なげなく、5回2安打無失点で2度目の対外試合を終えた。

堂々と開幕ローテ入りを決めた。辻監督は「(どこで投げるか)それは教えられん」とニヤリとしながらも「(ローテに)入りますから。やってくれると信じてます」と明言した。初回の末包の場面は「甘いところにいったら1発もある中で投げきった。真っすぐがいかないと、変化球が生きないからね」。スタイルを自覚し、配球で攻めたドラ1左腕の株が上がった。

隅田は“目”でも学びを得ていた。広島の先発大瀬良は同郷。「(長崎の)大村の大先輩。しっかり投げ負けないように、自分のピッチングをしよう」と臨んだ。直球、変化球とも、すきなく投げ込む姿を「大瀬良さんは自分のピッチングをしようとしているのが伝わりました」と受け止めた。負けじと自分のピッチングを重ね、4回2安打1失点の先輩と渡り合った。

5回に要した球数は61球だけ。降板後にブルペンで直球ばかり22球を追加したが「全然ばてなかった」とスタミナもばっちりだ。2月の紅白戦で審判に「試合では使えない」と指摘された2色のグラブに替え、この日からブルー系1色に新調。着実に、開幕へ歩を進めている。【古川真弥】

 

◆西武新人の開幕ローテ入り 11年牧田を最後に出ていない。チーム3試合目の4月15日ソフトバンク戦に先発した牧田は7回1/3を投げ1失点に抑えるも、リリーフが打たれて勝利投手にはなれなかった。07年には岸がチーム5試合目の3月30日日本ハム戦、05年の涌井はチーム4試合目の3月29日日本ハム戦に先発したが、2人とも白星はなし。開幕ローテ入りした西武の新人が初登板初勝利を記録すれば、チーム4試合目の99年4月7日松坂以来となる。