巨人小林誠司捕手(32)が正捕手争いに滑り込んだ。今季初スタメンに抜てきされたオープン戦のオリックス戦で“1号”ソロを含む、3安打猛打賞。昨季の打率は9分3厘に終わったが、打撃の課題克服を強烈にアピールした。1試合3安打は19年7月16日ヤクルト戦(神宮)以来。捕手争いは大城を筆頭に、喜多、山瀬の若手もひしめく。「世界のKOBAYASHI」「WHY? 小林」に続く、ミラクルストーリーで巻き返す。

【関連記事】巨人ニュース一覧

たまっていた鬱憤(うっぷん)を晴らすかのように、小林が躍動した。2打席連続安打で迎えた6回1死。オリックス阿部のスプリットを振り抜いた。打球は左翼スタンドへ一直線。三塁ベースを回って「よっしゃ!」と両手をたたいて破顔。「良い結果が出て、やってきたことを出せて良かったなと思います」と遠慮がちに胸を張った。

再起を誓った今季だったが、初手でつまずいた。1軍スタート予定だった春季キャンプ直前の1月22日、新型コロナ陽性判定を受けた。自宅隔離後の2月1日は3軍に合流。「焦るというか、結構自分の中ではしんどかった。でも、なってしまったことはしょうがないので。1日でも早く、いつ呼ばれてもいい状態で準備を(しよう)という気持ちでした」。キャンプはファームで過ごした。

ただ、足踏みしている時間はない。課題の打力を改善するため、駒田3軍監督、二岡2軍監督らに積極的に指導を仰いだ。スイング軌道を修正。「しっかり整理して構えから、良い軌道で振れている」と長年の課題と向き合った。1、2打席目はオリックスの左のエース宮城から2打席連続の中前打をマーク。オープン戦1号ソロと合わせて、19年7月16日ヤクルト戦(神宮)以来の3安打猛打賞で存在感を示した。

出遅れた正捕手争いは、大城にリードを許しているが、このまま引き下がるわけにはいかない。捕手陣最年長は「まだまだやるべきことはたくさんある。満足せず、しっかり振り返って、次に生かせたらと思います」とアピールを続ける。20年は打率5分6厘、昨季は打率9分3厘と、2年連続で打率1割以下に低迷している小林だが、今年は“何か”を起こしてくれる期待感が漂っている。【小早川宗一郎】

<巨人小林のミラクルストーリー>

「世界のKOBAYASHI」 17年の第4回WBCで大活躍。1次ラウンド中国戦でソロ本塁打を放つと、驚異の打率4割5分、6打点の大暴れ。

「WHY? 小林」 17年のオールスター第2戦で初出場、初打席、初スイングで初本塁打をマークした。シーズンでは前半戦は0本塁打と足踏みが続く中、ペナントレースには無関係な“大一番”で会心のホームラン。全セの高橋監督も、なぜ今なんだと言わんばかりに両手を広げる“WHY”ポーズで出迎えた。