広島西川龍馬外野手(27)が「1番左翼」で先発出場し、猛打賞を記録した。

春季キャンプ前の新型コロナ感染による出遅れも、1軍復帰した5日西武戦から先発出場を続ける。今年初マルチとなる3安打の固め打ちで、オープン戦打率は3割1分6厘となった。佐々岡真司監督(54)がレギュラー明言も、絶対的な信頼を勝ち取るまで危機感を胸に取り組んでいく。

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左に、右に、西川らしい打撃が戻ってきた。日本ハム上沢から1回は直球を左前に流し、3回はフルカウントから引っ張り右前打とした。4回は緩い変化球を再び右前へ。3打数3安打の固め打ちで、オープン戦打率を3割1分6厘にまで上昇させた。

「上沢さんというのもあって、今日は何とか1本と思っていたんですけど、3本打てたので、ちょっと良すぎかな」

好結果にも表情を変えない。まだ調整段階。出遅れた春季キャンプ中、オフ期間と同様のトレーニングを積んだ。食事も夕食を2回分摂るなどし、体重は昨季終了時から約5キロ増え、84キロとなった。ユニホームも昨季のものからサイズが大きくなった。「打球が弱いよりも強い方がいい。長打も増えると思う」。ここからは絞り込み、本番に臨むつもりだ。

通算2103打席で2割9分5厘の高打率を残し、昨季はチーム最多137試合に出場した。昨季は1番から8番まで務め、9番の経験もある。この日は前日までの3番から、1番で起用された。中軸だけでなく、上位も任せられる実力者に、佐々岡監督は「普通であれば、レギュラー。あと(レギュラーが決まっていない)の枠は4つ」と外野のレギュラー当確を明言した。

指揮官の言葉にも、本人は「そこは気にせずに、結果を残すことしか考えていません」ときっぱり。まだ確固たるレギュラー、主力としての信頼は得られていない現状に、表情を崩さない。中心選手としての自覚を胸に秘めつつ「試合に出ないと始まらない。昨年みたいに、あんなベンチ温め役は…。今年はちゃんと結果にこだわってやる」と奥歯をグッとかみしめる。打順もポジションも気にしない。ただ、自分の存在価値を示すため、常にグラウンドに立ち続けることしか考えていない。【前原淳】