逆転サヨナラ負け、開幕4連敗、単独最下位…。悪夢の試合で、阪神大山悠輔内野手(27)が意地を見せた。開幕からチーム唯一の4試合連続安打に加え、犠飛で今季初打点もマーク。チーム22年初勝利のV打点は幻になったが、背番号3が気を吐いた。

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6回に糸井の二ゴロで同点に追いついた直後。29イニングぶりの得点に熱気冷めやらぬ中、勢いに乗った。「みんなが良い形でつないでくれたので、どんな形でも点を取るという気持ちで打席に立ちました」。1死二、三塁。九里の内角141キロをしっかり打ち上げた。昨季の最多勝右腕から一時勝ち越しの左犠飛。2回には左前打で4試合連続安打を決めた。対九里は昨季10打数3安打、1本塁打。相性の良さを発揮した。

開幕3連敗で広島遠征に乗り込んだ。重苦しいムードは否めない。そんな中、試合前の円陣で呼び掛けた。「開幕3連戦はああいう形でしたけど、まだまだ始まったばかりです。前を向いて全員で一丸となって、頑張っていきましょう!」。プロ6年目。昨季は主に4番を張り、主将も務めた。年下の選手が増えてきたチーム。主力としての自覚を胸に刻み、今季も背中で引っ張る。

開幕後は試合前にロングティーを取り入れるなど、振り込みは欠かさない。ノックでは左翼、一塁も守り忙しくグラブを変える。「時間は限られているんで。1年間戦えるようにしっかり準備したい」。キャンプ中、何度もそう言った。昨季は主に4番を任されたが、開幕4番を佐藤輝に譲り、4試合連続7番起用。どんな状況でも、勝負どころで頼れる存在を目指してまい進している。

苦しい船出は経験済みだ。2年前は開幕後、10試合で2勝8敗。大山も開幕ベンチスタートだった。その後、調子を上げてスタメンに加わり、7月に月間8本塁打。同月、チームも14勝8敗2分けともり返した。広島に歓喜の抱擁を見せつけられ、黙っているわけにはいかない。今季も背番号3が、逆襲の象徴となるべくバットを振る。【中野椋】